紙面から

男子200バタ・坂井、圧巻の猛追「銀」  

 あと5メートルあれば、世界記録保持者を破る大金星を挙げていたかもしれない。男子200メートルバタフライ決勝。150メートルを8人中6位でターンした坂井は、ここからぐんぐん加速し、トップを行くフェルプスを追い詰めた。

 その差0秒04。初の五輪での銀メダル獲得も、あと少しでという欲が出てしまうほどのレースぶり。「金メダルを狙っていったので悔しいですけど、テレビで見たあこがれの選手と一緒に泳げただけでも光栄」と笑みがこぼれた。

 福岡・柳川高時代は1年生ながら全国高校総体で100メートルバタフライ優勝。転機は早大2年生だった昨夏の世界選手権の4位。先輩の瀬戸には勝ったが、わずかにメダルに届かず。ラスト50メートルでの伸びが足りなかった。「あの4位があるから、五輪2位という実績を残せたのではないか」と振り返る。

 リオ五輪代表に決まり、6月下旬からメキシコで高地合宿に入った。「今まで上がったことのない標高で、今までやったことのないようなたくさん(疲労物質の)乳酸がたまる練習を課して、それをやり切った」。奥野景介コーチが明かしたように、標高2400メートルの過酷な環境で、後半勝負に耐えうるスタミナを蓄えた。

 成果は如実に表れた。残り50メートルで前を行くライバルたちをごぼう抜き。自己ベストをマークし、1秒以上あったフェルプスとの差をほぼ詰めてみせた。「そこを課題にメキシコ合宿でやってきた。ラスト50メートルで追い抜けて、非常にうれしい」と確かな手応えを口にする。

 これで200メートルバタフライは、アテネ五輪から4大会連続で日本勢がメダルを獲得。山本貴司、松田丈志とつないできたバトンを、しっかりと受け継いだ。「バタフライと言えば『坂井』と言われるように、これから頑張っていこうかなと思う」。まずは1分52秒97の日本記録をターゲットに、4年後の東京五輪へ向けスタートを切る。(リオデジャネイロ・高橋隆太郎)

  

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