紙面から

柔道女子63キロ級・田代、弱気に5位

女子63キロ級3位決定戦 イスラエル選手に敗れ、涙を流して引き揚げる田代未来=今泉慶太撮影

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 初日から続いた日本女子のメダルラッシュが途切れた。63キロ級の田代は3位決定戦で先手を取って攻めたが、返し技で技ありを奪われるなどして力尽きた。

 最大のヤマ場は準決勝のアグベニェヌ戦だった。過去5戦全敗の天敵を足技でぐらつかせる場面もあったが、ポイントを奪うに至らず。逆に後ずさって場外に出て指導を受け、これが命取りになった。試合後は「情けない。こういう舞台で強みを出せない自分がどう変わっていくか」と目に涙を浮かべた。

 立って良し、寝て良しの万能型は、素質は十分ながら、精神的なタフさが課題だった。昨秋にはスロベニアに単独武者修行。所属先と日本代表で指導を受ける谷本歩実コーチからは、「自信がなければ一瞬のすきを見つけられない。自分を信じてもらいたい」と繰り返し説かれた。

 アグベニェヌとの準決勝では、対策してきた組手争いで勝り、有利な形を作りながら、反撃を恐れて攻めきれなかった。あと一歩を踏み込むために必要なのは、戦術よりも勇気。この悔しさが東京五輪に生きるはずだ。 (井上仁)

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