紙面から

体操女子・20歳の寺本 主将の大役「楽しく、やりきった」

女子団体総合決勝 寺本明日香の平均台の演技=リオデジャネイロで(共同)

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 若い力を統率する仕事はひとまず終わった。「私たちは4位でもすごくうれしい。結果はどうあれ、みんな楽しく、やりきった演技ができた」。女子団体総合決勝。自身2度目の五輪を主将として戦った寺本は、演技台の内、外で役割を果たした安堵(あんど)感に浸った。

 最終演技者として平均台に臨んだ。後輩の村上と杉原がノーミスでつなぎ、予選のこの種目で落下しているエースがどう締めくくるかが問われた。「予選で失敗したターンの数を減らすと決めた。その時点で、私には自信しかなくなった」。米国のエース、シモーン・バイルスの床運動が同時に行われ、大歓声が不規則に起こる中でも終末技まで着実に決めた。

 「(内村)航平さんの気持ちが分かった。男子と重圧が全然違うけど、主将として団体戦で結果を残したいと思った」。昨年の世界選手権で初めて実質的に主将を務めたが、自分の演技に気が回らず調子を崩しかけた。坂本周次コーチは「今回は余裕を持って周りを見ているし、自分から明るい雰囲気をつくっている」と20歳の成長を認める。

 海外メディアに表彰台を逃した悔しさを問われ、「満足です」と答えた。自分たちが実力をほぼ出し切り、それでも及ばなかったと素直に受け止める。「アメリカ、中国が強いと言われる中で『日本も上位に入るんじゃないか』と期待される国にならないと」。11日の個人総合決勝では一人の選手として、日本女子の可能性を世界に示す。 (リオデジャネイロ・鈴木智行)

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