紙面から

体操女子団体・杉原、光る師匠の技 48年ぶり希望の4位

天井のカメラから撮影した、女子団体総合決勝杉原愛子の段違い平行棒の終末技、ムーンサルト=共同

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 女子団体総合決勝で日本は合計174・371点の4位だった。4位は1968年メキシコ五輪以来で、3位中国との差は1・632点。世界選手権個人総合3連覇中のバイルスが引っ張った米国が、2連覇で通算3度目の優勝。184・897点で、2位ロシアに8点以上の大差をつけた。

 予選7位の日本は寺本明日香(レジックスポーツ)村上茉愛(まい=日体大)杉原愛子(朝日生命)が各3種目で安定した演技。宮川紗江(セインツク)は床運動でラインオーバーがあったが、跳馬では15・066、内山由綺(ゆき=スマイルク)は段違い平行棒で15・000と高得点を出した。 (共同)

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 バーを手放した身長149・5センチの体がひらりと舞う。女子日本代表で最年少の16歳、杉原愛子の段違い平行棒の終末技は、かつて体操界に革命を起こした月面宙返り(ムーンサルト)。本家本元である塚原光男さん(68)直伝の技も披露し、団体総合4位入賞に貢献した。

 「光男先生には五輪を特別なものと思うなと教わった。雰囲気にのみ込まれそうになったけど、本番は歓声を気にせず集中できた」

 大阪府東大阪市出身。巧みなひねり技と豊かなバランス感覚で頭角を現し、昨夏のアジア選手権で個人総合優勝を果たした。昨春に地元クラブを離れてから練習環境が定まらず、年末に右膝の遊離軟骨除去手術も受けて不安を募らせる中、塚原さんが営む東京の名門、朝日生命に招かれた。

 「バーの離し方やひねるタイミングを教わり、ムーンサルトに余裕が出てきた」。塚原さんの妻である日本女子の塚原千恵子監督(68)、長男でアテネ五輪男子団体総合優勝メンバーの直也さん(39)からも基礎を学び直し、五輪代表の座を射止めた。

 心臓疾患でリオに来られない塚原監督から、出発前に手紙をもらった。「体操は心の強さ、という言葉が胸に刺さった」。以前、贈られたぬいぐるみもバッグに忍ばせ「安心できます」と笑う。

 最終種目の平均台の着地を決めると「涙が勝手に出てきた」。団体総合4位は、塚原監督が現役で出場した1968年メキシコ五輪以来。「うれしさと悔しさがある。もっと頑張って東京五輪に出たい」と奮起を口にした。 (鈴木智行)

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