紙面から

萩野、猛追の「銀」 フェルプス、ロクテと激戦

男子200メートル個人メドレー決勝萩野公介のバタフライ=共同

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 競泳の男子200メートル個人メドレー決勝で、400メートルとの2冠を狙った萩野公介(東洋大)は1分56秒61で銀メダル。藤森太将(ミキハウス)は1分57秒21の4位で惜しくも表彰台を逃した。マイケル・フェルプス(米国)が1分54秒66で4連覇を果たし、史上最多の五輪通算金メダル数を22とした。 (共同)

 平泳ぎを終えた時点で5番手。メダル圏外と思われた最終のターンから萩野の猛追が始まった。

 「スピードが出ず不安だったが、考えても仕方がない。最高の場で泳げる喜びをかみしめて泳ごう」。自由形で最後の力を振り絞り、ロクテら3人を一気に抜いて2番手でゴールした。

 400メートル個人メドレーで金、800メートルリレーで銅。今大会、2個のメダルを手に入れてきた萩野にとって、最終の200メートル個人メドレーは極めて純粋に、大好きな競泳を楽しむ舞台だった。

 フェルプスとロクテ。すでに30代に入った競泳界の2大スター、希代のマルチスイマーとの五輪でのそろい踏みは、これが最後となる可能性が高いからだ。

 特にレース前までに五輪通算金メダルを21個に伸ばしているフェルプスは、あこがれの人だ。8冠を達成した2008年北京五輪。母貴子さんと一緒にテレビ観戦した100メートルバタフライでの逆転劇は、萩野の心にいまも刻まれている。

 高校3年生で出場したロンドン五輪では、400メートル個人メドレーでそのフェルプスに勝って銅メダルを獲得。しかし、相手は本調子ではなく、萩野は「ラッキーだった」と振り返る。

 ロンドン五輪後、本格的な多種目挑戦に乗り出した萩野は翌13年の日本選手権で前人未到の5冠を達成。14年の仁川アジア大会では金4個を含む7個のメダルを獲得。大会MVPにも輝いた。

 自信を持って臨んだ決勝。ロクテはかわしたものの金メダルのフェルプスに2秒近く離され、「フェルプス選手たちと勝負するために練習してきたのに勝負にならなかった」と力の差を痛感した。

 3種類のメダル獲得には満足できない。「宿題を残した。4年間、みっちり鍛えて、もっといい花を咲かせたい」。東京五輪では最も輝く色でそろえる。新たな欲が心に芽生えた。 (高橋隆太郎)

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