紙面から

水谷、打ち破って「銅」 打倒中国、感触つかむ

男子シングルスで銅メダルを獲得した水谷隼=リオデジャネイロで(隈崎稔樹撮影)

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 男子シングルスが行われ、3大会連続出場の水谷隼(ビーコン・ラボ)が3位決定戦でサムソノフ(ベラルーシ)を4−1で下し、銅メダルを手にした。卓球で日本の男子、個人種目のメダルは初めて。水谷は第3ゲームを落としたが、第4、第5ゲームを奪って粘る相手を振り切った。

 中国勢対決となった決勝は昨年の世界選手権王者の馬龍が2連覇を狙った張継科にストレート勝ちし、金メダルを獲得した。 (共同)

 試合を見守った男子代表の倉嶋監督は涙目になっていた。「中国が(2人)いる限り、個人のメダルはすごく難しい。この十何年、男子を支えてきた水谷が取って本当にうれしい」。中国勢の力は突出しており、個人は男女ともに3大会連続で金、銀を独占している。銅メダルしか残されていないのが現状だ。

 水谷のメダル獲得は日本協会が2000年代初めから取り組んだ若年層育成システムの成果だった。世界と戦うためには幼少期からの技術習得が必須になっている。01年に小学生を対象としたナショナルチームの設立を理事会で承認し、02年から研修合宿を定期的に行ってきた。選手と指導者がペアで参加し、技術、メンタル、食事を学ぶ。その1期生が水谷だった。

 次の目標は打倒中国だ。準決勝で、水谷は世界王者の馬龍に敗れたものの、2ゲームを奪った。倉嶋監督は「こういうプレーをすれば中国に勝てると感触をつかんだ」と手応えたっぷり。

 20年東京五輪までに、どこまで中国に肉薄できるか。水谷は「だんだん日本のレベルが上がってきた。中国を倒すことは可能だと思っている」と銅をステップに東京ではさらに輝くメダルを狙う。 (森合正範)

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