紙面から

陸上男子100m 日本勢2人が準決勝へ

男子100メートル予選準決勝進出を決めたケンブリッジ飛鳥=リオデジャネイロで(代表撮影)

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 男子の100メートル予選でケンブリッジ飛鳥(ドーム)が10秒13の4組2着、山県亮太(セイコーホールディングス)が10秒20の8組2着で準決勝に進んだ。7組は桐生祥秀(東洋大)が10秒23の4着で敗退し、ボルト(ジャマイカ)は10秒07の1着で通過した。

 1万メートルは大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)が27分51秒94の17位、設楽悠太(ホンダ)が29位、村山紘太(旭化成)は30位。ファラー(英国)が27分5秒17で2連覇した。走り幅跳びはヘンダーソン(米国)が8メートル38で制した。

 棒高跳び予選は、沢野大地(富士通)が5メートル60で決勝に進出。荻田大樹(ミズノ)は5メートル45、山本聖途(トヨタ自動車)は記録なしで敗退した。

 女子100メートルはトンプソンが10秒71で初優勝し、3連覇を狙ったフレーザープライス(ともにジャマイカ)は3位だった。七種競技はチアン(ベルギー)が6810点で優勝した。 (共同)

◆ケンブリッジ 後半加速

 激しい2着争い。得意の後半に入ると、ケンブリッジは大きなストライドで猛追した。最後は左のレーンを確認しながら胸を突き出してゴール。中国選手をかわし、予選を突破した。「イメージ通りです。前半も悪くなかったので、うまく調整できたので試合に出せたと思う」

 向かい風0・5メートルの条件ながら10秒13のタイムは全体の8番目。独特の雰囲気の中、初の五輪でも動じることなく、力を発揮した。「こういう雰囲気はなかなかないので楽しめています」。走りにも心にも余裕がある。

 日大2年のとき、約20年ぶりに父の故郷、ジャマイカを訪れ、ウサイン・ボルトの出身チームで練習した。そこにいたのが2011年世界選手権金メダリストで9秒69の記録を持つヨハン・ブレークだった。9秒台の選手と一緒に汗を流すのは初めて。盗めるものはないか。走りや体の動かし方を凝視した。「衝撃的でした。パワーと切れがすごい。当たり前のように高いレベルで練習をこなしている。生で見て勉強になった」と刺激を受けた。

 あのジャマイカでの練習から3年。憧れの存在でしかなかったブレークと準決勝で同じ組で走る。自らの成長を確認するため、勝負に挑む。 (リオデジャネイロ・森合正範)

ケンブリッジ飛鳥に続き、準決勝進出を決めた山県亮太(左)=リオデジャネイロで(代表撮影)

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◆山県 驚異のスタート

 低い姿勢から飛び出し、前だけを見てゴールを駆け抜けた。山県は会場の大型ビジョンで2着を確認すると、右手を上げた。「横を気にすることなく、前だけを見て走ろうと思っていた。とにかくホッとしています」。男子100メートルで2大会連続の準決勝進出は1964年東京、68年メキシコ両五輪の飯島秀雄以来、48年ぶりの快挙だ。

 得意のスタートダッシュに成功した。合図から走りだすまでのリアクションタイム(反応時間)は0秒111。予選出場の69選手のうち2番目に速い驚異の数字だ。トップクラスでも0秒13台で、予選トップのガトリン(米国)は0秒160だった。練習で反応時間を上げることは難しい。山県は「特に意識していない」と天性のもの。100分の1秒を競う100メートルでは大きな武器になっている。

 レース直前、「また帰ってきたよ」と自らにつぶやいた。再び五輪の舞台に立っている喜びと幸せ。「すごく緊張感があるし、この独特な雰囲気は4年に1度しか味わえない」

 ロンドン五輪以降は、常に準決勝で勝負することをイメージしてきた。世界最速のボルトと同じ組となり、自己ベスト10秒06は8選手の中で最下位。険しい道のりであることは分かっている。「本番は何が起こるか分からない。4年間この日のためにやってきた。予選の走りを修正してタイムを縮めたい」。4年分の思いを込めて全力で走る。 (森合正範)

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