紙面から

陸上男子100m ボルト3連覇、9秒81 日本勢は決勝ならず

男子100メートル決勝優勝したジャマイカのボルト=共同

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 男子100メートル準決勝で、2組の山県亮太(セイコーホールディングス)は10秒05の5着、3組のケンブリッジ飛鳥(ドーム)は10秒17の7着でともに敗退し、1932年ロサンゼルス五輪の吉岡隆徳以来となる日本選手の決勝進出はならなかった。

 決勝はボルト(ジャマイカ)が9秒81で制し、3連覇を果たした。ガトリン(米国)が9秒89で2位、デグラッセ(カナダ)が9秒91で3位だった。

 男子400メートルはファンニーケルク(南アフリカ)が43秒03の世界新記録で優勝。99年にM・ジョンソン(米国)が記録した43秒18を塗り替えた。同走り高跳びの衛藤昂(AGF)は2メートル17で予選落ちした。女子三段跳びはイバルグエン(コロンビア)が15メートル17で制した。 (共同)

男子100メートルで優勝し、得意のポーズを決めるボルト=隈崎稔樹撮影

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◆史上初の快挙 限界説吹き飛ばした

 「世界最速」の称号を守ったボルト。3連覇の喜びをかみ締めるように、ゆっくりと競技場を1周して歓声に応えた。トラック種目で3連覇は史上初の快挙。「最高のレースだった」。あまたの栄光を味わってきたスーパースターのひと言が、喜びの大きさを物語った。

 抜群のスタートから先行したガトリンを追う展開。中盤からぐいぐいと伸び、トップスピードでガトリンをかわす。リードを広げながらフィニッシュした。ボルト強し。限界説を吹き飛ばした。

 アクシデントが発生したのは7月1日のジャマイカ選手権。左太もも裏のけがを訴え、決勝を棄権し、200メートルも欠場した。調整に影響を与えたことは間違いない。ライバル、ガトリンは全米選手権で2冠となり、絶好調でリオに乗り込んできた。ボルト危うしという周囲の声に「自分の力を証明するよ」とさらりと言ってのけた。

 ボルトのキャリアは栄光に彩られている。2008年北京、12年ロンドン両五輪の100メートル、200メートルで連覇を達成。世界選手権では11個の金メダルを獲得した。09年ベルリンでマークした100メートル9秒58、200メートルで19秒19の世界記録はいまなお破られていない。まさに陸上史上最大のスーパースター。フライングで失格となった11年韓国・大邱の世界選手権100メートルを除けば、08年以降、世界大会で負けた姿を見せていない。

 リオ入り後、8日の記者会見では「間違いなく最後の五輪になる」と明言した。これまで言い続けていることがある。「目標は引退するまで1番であり続けることだよ」

 最終章の幕が開け、まずは1冠。「あとメダルを二つとって締めくくりたい」。伝説に新たな1ページを書き加え、ボルトが愛する200メートルで世界新を狙う。 

  (森合正範)

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