陸上男子100m ボルト、未到3連覇 後半一気の加速9秒81
男子100メートルで優勝したボルト=リオデジャネイロで(隈崎稔樹撮影) |
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男子の100メートルはボルト(ジャマイカ)が9秒81で制し、この種目で初の3連覇を達成した。ガトリン(米国)が9秒89で2位、デグラッセ(カナダ)が9秒91で3位だった。準決勝で山県亮太(セイコーホールディングス)は10秒05の2組5着、ケンブリッジ飛鳥(ドーム)は10秒17の3組7着に終わり、日本勢84年ぶりの決勝進出はならなかった。
400メートルはファンニーケルク(南アフリカ)が43秒03の世界新記録で優勝。従来の記録は1999年にM・ジョンソン(米国)がマークした43秒18。走り高跳びの衛藤昂(えとう・たかし=AGF)は2メートル17で予選落ちした。
女子三段跳びはイバルグエン(コロンビア)が15メートル17で制した。 (共同)
五輪のメインイベント、男子100メートル決勝。ボルトのスタートが明らかに遅れた。ライバルのガトリンにあっという間に離され、1メートルほどの差ができた。会場の誰もが「3連覇は大丈夫か?」と思っただろう。身長196センチの大きな体でガトリンを猛追する。終盤に宿敵をかわし、ゴールを駆け抜けた。終わってみれば、ボルトの完勝。この種目で初の3連覇を成し遂げた。
「少し出遅れたけど、心配していなかった。追いつけると思っていた。これが本当にラストの五輪。良いスタートを切れたと思う」
7月1日のジャマイカ選手権。左太もも裏の故障を訴え、決勝を棄権し、200メートルを欠場した。一方、ガトリンは絶好調でリオに乗り込んできた。「果たしてボルトは100メートルで勝てるのか?」。今大会、最大の関心事になっていた。
昨年の世界選手権も同じ状況だった。左脚のけがで複数のレースを欠場した。本番でも準決勝まで精彩を欠いた。決勝ではスタートで遅れ、観客をドキドキさせる。まるで見せ場をつくっているかのように、最後はガトリンを逆転した。スーパースターならではの勝負強さだろう。
2008年北京五輪以降、フライングで失格となった11年の世界選手権100メートルを除けば、世界大会で負けた姿を見せていない。これまで言い続けていることがある。「目標は引退するまで一番であり続けることだよ」
16日からは「愛している」という200メートルが始まる。「左脚は問題ない。世界新記録を出したい。19秒の壁を突破する夢がある」。ボルトは最後まで挑戦しようとしている。 (リオデジャネイロ・森合正範)