紙面から

レスリング 太田、気鋭の銀 「世界」未出場で初の表彰台

男子グレコローマン59キロ級決勝キューバのイスマエル・ボレロモリナ(左)を攻める太田忍=リオデジャネイロで(内山田正夫撮影)

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 男子グレコローマンスタイルの2階級が行われ、59キロ級の太田忍(ALSOK)は決勝で2015年世界選手権王者のボレロモリナ(キューバ)にテクニカルフォール負けし、銀メダルとなった。レスリング男子は16大会連続で表彰台を確保した。

 太田は準決勝ではロンドン五輪55キロ級銀メダルのバイラモフ(アゼルバイジャン)にフォール勝ちした。日本勢が出場していない75キロ級はウラソフ(ロシア)がロンドン五輪74キロ級に続く優勝を果たした。 (共同)

 今大会のメダルゼロもささやかれた日本男子に朗報をもたらした太田だったが、表彰式で流したのは無念の涙だった。「世界で1番練習してきたつもり。でも、2番目の練習しかしてなかったということ」。22歳が本気で狙った金の夢はあっさり砕かれた。

 決勝は昨年の世界選手権覇者、ボレロモリナに挑んだ。初戦からロンドン五輪のメダリストらを倒してきたが、頂上決戦で待っていたのは直近の王者。勢いははじき返された。

 「勝つイメージはあったが、すごく厳しく腕を取ってきた」。第1ピリオド中盤、投げ技を愛称の「ニンジャ(忍者)」さながらの動きでかわした。それでも終了間際には持ち上げられ、豪快な反り投げなどで6点を失った。第2ピリオドは残り1分を切り、テクニカルフォール負け。マットを強くたたいて悔しがった。「相手が上手だった」

 出国までは母校の日体大で練習を重ね、現地入りしてからも練習で追い込んだ。数日前に右肩を痛め、この日は痛み止めを飲んでの戦い。開始前に四股を踏み、試合着の胸の日の丸に手をかざすなど、気合に満ちた所作もブラジルの観客を盛り上げた。

 「重たいといえば重たいメダル」。日本協会によると、グレコローマンでは日本最年少のメダリスト。世界選手権の出場経験がないまま、五輪の表彰台に上がった選手も初めてだ。「4年後、やってやろうという気になりました」。さらなる輝きを求め、また修業の日々が始まる。 (リオデジャネイロ・鈴木智行)

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