紙面から

バドミントン女子単 奥原、日本勢初4強 山口に勝利

女子シングルス準々決勝対戦する奥原希望(右)と山口茜=共同

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 4種目が行われ、女子シングルス準々決勝で第6シードの奥原希望(日本ユニシス)が山口茜(再春館製薬所)に2−1で逆転勝ちし、シングルスの日本勢で男女を通じて初の4強入りを決めた。18日の準決勝でプサルラ(インド)と対戦する。

 女子ダブルスは高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)が準決勝を勝ち、同種目の日本勢で2大会連続の表彰台となる銀メダル以上が確定した。18日の決勝でリターユヒル、ペデルセン組(デンマーク)と顔を合わせる。 (共同)

◆「もっと先で戦いたかった」 逆転、後輩思いやる

 笑顔はなく、奥原の表情はむしろ険しかった。女子シングルスで日本人選手として初の4強入りに似つかわしくない面持ちは、相手が山口だったから。苦楽を共にしてきた後輩の五輪を終わらせたことに、「この舞台じゃなく、もっと先で戦いたかった」と複雑な胸の内を明かした。

 第1ゲーム、出だしから全開で飛ばしてきた山口のスピードや読みに圧倒され、主導権を握られた。珍しくミスを連発。11−21と一方的な展開で落とした。

 驚きはあったが、それ以上に意気に感じたという。「今まで対戦した中で比べものにならないくらいのパフォーマンスに勇気づけられた」。第2ゲームの前に頭に浮かんだのは、戦術より何より、全力で向かってくる相手に全力で応えること。「一球一球自分らしいプレー、ガッツある諦めないプレーを出そうと。それだけでした」

 体力勝負なら山口に負けない自信がある。コート内を縦横無尽に走り回り、柔軟な体も生かし、届きそうもないシャトルを拾いまくった。単純になっていた配球を見直し、逆に山口をコートの四隅に走らせた。第2ゲーム序盤までは勢いが残っていた山口を4−6からの4連続得点で突き放した。

 地力の違いを見せつけての完勝は次戦に勢いをつけるはずだが、最後まで山口のことをおもんばかった。「強かった茜ちゃんの分まで戦わないといけないと、心の中がキュッとした」。もともと実力的に金メダルの有力候補。さらに思わぬ形で気持ちの高まりが加わった。シングルスでは男女を通じて日本人選手初のメダルまで、あと1勝だ。 (井上仁)

◆速攻策、実らず

 山口は涙声だった。持てる力は出し尽くしたが、奥原には及ばなかった。「勝てなかったのは自分の実力だと受け止めています」と潔かった。

 作戦は単純明快。最初から最後まで全力で飛ばし、バテたらそれまでと覚悟した。「どうせ今まで勝ったことがないし、当たって砕けろという感じ」。ラリーには持ち込まず、速攻に次ぐ速攻が第2ゲーム序盤までは見事にはまった。

 しかし、奥原には勢いだけでは押し切れない強さがあった。徐々にスピードに慣れられ、焦りで展開のパターンが単純に。結局、ラリーが続く相手が得意な我慢勝負に持ち込まれた。最終ゲームは「負けた言い訳を考えているところがあった」と集中力を欠き、10−21と一蹴された。

 五輪代表に選出されてからも、19歳は「イメージがわかない」と繰り返していた。いざその舞台に立ち、4試合を戦い終えての感想は「すごいとは思うけど、じゃあ4年後のここに向けて頑張ろうではなく、次の試合に向けて頑張ろうという気持ち」。この経験をどう生かすかが注目される。 (井上仁)

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