紙面から

卓球団体 日本女子が銅 2大会連続メダル

日本−シンガポール 第1試合でプレーする福原愛=隈崎稔樹撮影

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 女子団体が行われ、2012年ロンドン五輪銀メダルの日本が3位決定戦でシンガポールを3−1で下し、2大会連続の表彰台となる銅メダルに輝いた。

 福原愛(ANA)石川佳純(全農)と15歳の伊藤美誠(スターツ)の布陣で臨んだ日本は第1試合のシングルスで福原が敗れたが、その後は第2試合のシングルスで石川、第3試合のダブルスで福原、伊藤組が勝ち、第4試合のシングルスで伊藤がロンドン五輪シングルス銅メダルのフェン・ティアンウェイを破って3連勝した。

 決勝は中国がドイツを3−0で退け、3連覇を達成した。 (共同)

◆伊藤、執念のエッジボール

第2試合、サーブを放つ石川佳純=隈崎稔樹撮影

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 コートで伊藤が両手を突き上げる。ベンチでは福原が手で顔を覆い、石川が肩を抱き寄せた。卓球女子団体の3位決定戦で、日本は2大会連続のメダルを死守した。福原は「メダルが取れた五輪と、取れなかった五輪の差を痛いほど分かっている。本当にホッとしている」と目を赤くした。

 「神様はいるんだなと思った」。福原が一つの場面を振り返る。伊藤と組んだ第3試合のダブルス。第1ゲームを落とし、第2ゲーム10−9の場面で、伊藤の苦しい体勢からの返球が台の角に当たるエッジボールとなり、このゲームをものにした。

 2日前のドイツとの準決勝では、最後に福原がエッジボールで決められ、2大会連続の決勝への道が断たれた。紙一重の運かもしれない。ただ、それも「意地でも入れた。気持ちで入った」という伊藤が必死で手を伸ばし、ラケットに当てたからこそ。勝利への執念が神様を振り向かせた。これで流れに乗り、続く2ゲームを連取。第4試合は伊藤がストレート勝ちで締めくくった。

第4試合、ショットを放つ伊藤美誠=佐藤雄太朗撮影

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 準決勝敗退で負った傷は深かった。金メダルだけを目指していた上に、あと一押しから逆転された伊藤や福原の負け方もこたえた。気持ちの立て直しがメダルへの鍵。一夜明けての練習で互いに励まし合う中、ドイツ戦で2勝し、役割を果たした石川が明るく言った。「明日勝てばメダルだから頑張ろう」。これで福原も伊藤も救われ、全員の焦点が銅メダルに定まった。

 目標だった中国との対戦は実現せず、メダルの色もロンドン五輪から一つ下がった。それでも、村上恭和監督は「ロンドンは奇跡的なメダル。今回は絶対に取ると予定して取った」と指摘。伊藤は「五輪のメダルは本当に厳しいのだとあらためて感じた」と次への糧を得た。4年後につながる、意義ある銅メダルだった。 (井上仁)

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