紙面から

シンクロデュエット 乾・三井組が銅 マーメイド、雷で覚醒

デュエット・フリールーティン決勝銅メダルを獲得した乾(右)、三井組=今泉慶太撮影

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 デュエット決勝のフリールーティン(FR)が行われ、乾友紀子(井村シンクロク)三井梨紗子(東京シンクロク)組は94・9333点で、4位だった15日のテクニカルルーティン(TR)との合計188・0547点で3位に入り、日本勢として2大会ぶりのメダルを獲得した。

 イーシェンコ、ロマシナ組(ロシア)がFR98・5333点、合計194・9910点で2連覇し、ロシア勢が5大会連続優勝した。

 黄雪辰、孫文雁組(中国)が合計192・3688点の2位に入った。TR3位のアナナソワ、ボロシナ組(ウクライナ)はFRが5位で合計187・1358点の4位だった。 (共同)

◆地獄の練習 隙なくす

 先に演技を終えていた乾と三井、そして井村雅代監督は、銅メダルを争うウクライナの得点が表示された瞬間、万歳して抱き合った。

 TR4番手からの逆転表彰台。2大会ぶりに世界3位の座を奪い返し、3人の目に涙が光った。「本当に地獄のような日々を過ごしてきた。報われてうれしい」と三井はしみじみと話した。

 FRのプログラムは「風神雷神」。天候の移り変わりを緩急自在に表現していく。「彼女たちはぶつかっていった」と井村監督が評したように、切れのある演技は同じFRを泳いだ2日前の予選を上回る94・9333点をたたき出した。

 井村監督の叱咤(しった)を受けながら、1日10時間を超える練習に耐え続けてきた2人。最後もカミナリを落とされ、目を覚ました。TRでわずか0・0144点ながらウクライナにリードを許した。そんな状況にもかかわらず決勝のFRに向け、井村監督の目には「トロトロ練習していた」と映った。

 「あなたたち、勘違いしなさんなよ。誰がメダル取れると言った。その安心はどこからくるの」。怒声が2人の気持ちを引き締め、隙のない演技を生み出した。

 井村監督はシンクロが正式競技となったロサンゼルス五輪から6大会連続で日本のメダル獲得に貢献してきた。勇退したアテネ五輪後、日本は低迷期に入る。ロンドン五輪ではチーム、デュエットともメダルなし。復活の使命を背負い、リオ五輪で再び日本を率いた井村監督は、変わらぬ情熱と厳しさで、若い2人を表彰台へ立たせた。 (高橋隆太郎)

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