紙面から

卓球団体 日本男子が初の決勝へ 師弟の絆で4年前の雪辱

第4試合ポイントを挙げガッツポーズする(右から)水谷、丹羽、吉村、倉嶋監督=リオデジャネイロで(隈崎稔樹撮影)

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 第11日の15日は、男子団体準決勝が行われ、日本はドイツを3−1で破って初めて決勝に進み、銀メダル以上が確定した。2008年北京五輪から始まった同種目でのメダル獲得は初めて。エース水谷隼(ビーコン・ラボ)はシングルスの銅メダルに続き、今大会二つ目のメダルとなった。17日(日本時間18日朝)の決勝で3連覇を目指す中国に挑む。 (共同)

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 4年前の悔しさを歓喜に変えた。相手選手の返球が大きく外れると、水谷はガッツポーズをしたまま倒れ、大の字になった。ベンチでは倉嶋監督が丹羽、吉村と抱き合った。「目標はシングルスと団体でのメダル獲得だったので、本当にうれしい。大きな大きなメダルです」。水谷が声を弾ませた。

 倉嶋監督の脳裏に焼きついているシーンがある。

 ロンドン五輪の準々決勝。当時コーチとして観客席から試合を見つめていた。「負けた瞬間、相手(香港)が喜んでいる姿を鮮明に覚えている。あの悔しさがあるから、この4年間頑張ってきた。水谷も同じだったと思う」

 ロンドン五輪後、代表監督に就任した。心掛けたことは対話。それは当時、代表で孤立していた水谷と話し合うことでもあった。「人間の器が大きくなれば、卓球の器も大きくなる。それが必ずプレーに出る」。卓球の技術だけでなく、人間力を求めた。

 明大の先輩後輩。対話を重ね、2人の絆はより深まった。水谷は少しずつ変わっていった。倉嶋監督は「隼は丹羽、吉村のことを認めている。2人は『頑張って水谷さんに託すんだ』という思いがある」と3人の関係を説明。チームの結束は固まった。

 準決勝。1番手の吉村が敗れ、重圧がかかる場面で水谷はストレート勝利。3番手のダブルスが勝ち、2−1で迎えた4番手で再び起用された。相手を寄せ付けず、メダルを確定させた。真っ先に倉嶋監督のもとへ駆け寄った。

 17日の決勝は中国と対戦する。「最近、試合中に相手が僕を恐れているのを感じる。中国と思わず、自分たちより下だと思って臨みたい」。目指すはより輝くメダル。いまの水谷に怖いものはない。

  (リオデジャネイロ・森合正範)

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