紙面から

体操ニッポン跳べ 東京五輪へ若手育成で底上げを

 種目別決勝を行い、男子平行棒はベルニャエフ(ウクライナ)が16・041点で優勝した。加藤凌平(コナミスポーツ)は15・233点の7位。予選より難度を上げた終末技を決めたが、倒立姿勢などでぶれが出た。

 女子床運動はバイルス(米国)が演技価値点「6・9」で15・966の高得点。2位に0・466の差をつける圧巻の演技で団体総合、個人総合、跳馬と合わせて史上5人目の4冠を達成した。村上茉愛(日体大)は14・533点の7位で、この種目では1984年ロサンゼルス五輪7位の森尾麻衣子以来の入賞。

 男子鉄棒は4度目の出場で28歳のハンブッヘン(ドイツ)が15・766点で優勝。北京「銅」、ロンドン「銀」に続く3大会連続メダルで、団体総合、個人総合も含めて自身初の五輪「金」となった。 (共同)

     ◇

 体操は16日で全種目を終え、男子団体総合と個人総合の内村航平(コナミスポーツ)の金、種目別跳馬の白井健三(日体大)の銅と計三つのメダルを獲得した。最大の目標だった男子団体で3大会ぶりの頂点に立ったが、日本体操協会が目標に掲げた「金4個を含むメダル7個」には届かなかった。

 金メダルを取った2種目はそれぞれ、日本の「美しさ」が勝利に結び付いた。団体総合決勝のDスコア(演技価値点)の合計は中国の方が高かったが、出来栄えを示すEスコア(実施点)で日本は大きく上回り、最終的には3点近い差をつけた。一方、中国を抜いて銀メダルを取ったロシアとのEスコアの差はほとんどなく、今後は警戒が必要だ。

 個人総合は際どい勝負だった。銀メダルのオレグ・ベルニャエフ(ウクライナ)は6種目合計のDスコアで内村を0・7点上回り、昨年までのような粗さもなくなった。「次にやったら勝てない」という内村の言葉も謙遜だけではないだろう。

 種目別は床運動で白井がメダルを逃す誤算があった。それをおいても、団体優勝国から種目別の決勝進出者が延べ4人にとどまったのは寂しい。水鳥寿思(ひさし)監督は「今回はロンドンで果たせなかった団体金が最大の目標だった。東京五輪は、個人種目を含めた総合力でいかに勝つかを目指さなければならない」と話す。

 女子は団体総合で48年ぶりとなる4位入賞、個人総合で寺本明日香(レジックスポーツ)が1964年東京五輪以来となる8位入賞と上々の結果を残した。床運動と跳馬を得点源にできる選手がそろい始めたが、落下のある段違い平行棒と平均台で高い技術を発揮できる選手も今後は求められる。

 東京五輪では団体総合の1チームの人数が現行の5人から4人に減り、一人ですべての種目を行う個人総合が強い日本が有利になりそうだ。五輪が終わるごとに変更される採点規則に早く対応するとともに、幅広い種目をこなせる若手の育成で底上げを図りたい。 (リオデジャネイロ・鈴木智行)

※ご利用のブラウザのバージョンが古い場合、ページ等が正常に表示されない場合がございます。