紙面から

卓球男子団体 王者・中国の壁破れず 水谷が執念の一矢

日本−中国第2試合でプレーする水谷=隈崎稔樹撮影

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 男子団体の決勝が行われ、日本は中国に1−3で敗れて銀メダルとなった。中国は団体で男女とも3連覇を達成した。

 第1試合のシングルスで丹羽孝希(明大)が馬龍に敗れた後、シングルスで水谷隼(ビーコン・ラボ)が許〓に競り勝った。しかし、第3試合のダブルスで丹羽、吉村真晴(まはる、名古屋ダイハツ)組が負け、第4試合のシングルスで吉村が馬龍に屈した。

 3位決定戦ではドイツが韓国を3−1で下し、3大会連続の表彰台となる銅メダルを獲得した。(共同)

 雄たけびとともに水谷が両膝を地に着き、崩れ落ちた。第2試合のシングルス、最終第5ゲーム。11−10でサーブを放ち、相手のリターンが大きく台を越えた。今大会おなじみの光景となった、渾身(こんしん)のガッツポーズであふれる歓喜を表現した。

 五輪の団体決勝戦。日本にとって未知の領域で、相手は王者中国。しかも第1試合を丹羽が落とし、対するは過去12戦全敗の許〓。これ以上なく厳しい状況で、水谷は躍動。第1ゲームは終盤に追いつかれた10−10から2連続得点。第2ゲームは中盤の5連続失点で一時逆転を許しながら、再び追い上げてものにした。

 決勝を前に水谷は相手が中国であるという意識を消した。「初めてやる、自分たちより下の国だと思ってやる」。台から下がることなく先に攻め、勢いにのまれた相手がたまらずミスをする。言葉どおり、どちらが格上か分からなくなるような光景だった。続く2ゲームを落とし、最後も7−10とゲームポイントを握られたが、この場面で相手を射抜くような鋭い目つきが復活。5連続得点で劇的な勝利をもぎ取った。

 水谷は個人戦で男子卓球初の銅メダルを獲得し、団体戦でも自身は負けなし。「シングルスと団体でメダルが取れて、団体は銀で素晴らしい結果だと思う。(第2試合で許〓に勝ち)大きな舞台で負け続けてきたが、五輪という最高の舞台で勝てた。借りを返せた」。試合を重ねるごとにみなぎっていく自信を、十二分に表現した水谷の1勝だった。 (井上仁)

※〓は、日へんに、析の右

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