シンクロデュエット　乾・三井組「銅」　日本復活の舞

　デュエット決勝のフリールーティン（ＦＲ）が行われ、乾友紀子（井村シンクロク）三井梨紗子（東京シンクロク）組が３位の９４・９３３３点をマークし、４位だったテクニカルルーティン（ＴＲ）との合計１８８・０５４７点で銅メダルを獲得した。日本勢は２大会ぶりの表彰台となった。

　ＴＲ１位のイーシェンコ、ロマシナ組（ロシア）がＦＲもトップとなり、合計１９４・９９１０点で２連覇。ロシア勢の連覇は５に伸びた。黄雪辰、孫文雁組（中国）が１９２・３６８８点で２位。ＴＲ３位で日本を上回っていたアナナソワ、ボロシナ組（ウクライナ）はＦＲ５位で、１８７・１３５８点の４位だった。　（共同）

　天気の移ろいをテンポ良く演じる「風神雷神」。デュエット決勝のフリールーティン（ＦＲ）。乾と三井がプールサイドに立つと、これから演じるプログラムをなぞるように、降り注いでいた日差しが突然現れた雲に遮られた。

　「量も質もすごくハードなことをやらせてきた。これでもか、これでもかというぐらい。その全部を使わないと駄目。この時のためにやってきたのだから」。井村雅代監督のげきを背に、飛び込んだ。

　まずは嵐。スピード感あふれる脚技で観衆を引きつける。なぎのパートでは優雅に舞った。ロシア、中国の２強に続いた演技順にも全く動じなかった２人は２日前、同じＦＲを泳いだ予選よりも高得点をたたき出し、ウクライナの演技を待った。そして訪れた歓喜の瞬間。乾、三井、そして井村監督までも涙ぐんだ。

　「世界選手権のメダルと五輪では全然違うと先生からも言われていた。多くのヤマ場があったし、簡単にはいかないんだなと感じた」。乾は激しかったウクライナとの銅メダル争いを振り返った。予選のＦＲでリードしながら、決勝に得点が持ち越されるテクニカルルーティン（ＴＲ）では逆に上回られた。行ったり来たりの流れ。「迷ったら負け」。百戦錬磨の井村監督は「自分の信じてきた道を全うすること」を求めた。

　シンクロ日本の復活を告げるメダル奪還。３大会ぶりに指揮を執った井村監督は「一生懸命にやっている日本の選手がいる。そこにメダルを戻してあげたかった」と語る。次はチームでの戦い。「すごくいい流れ。この勢いを加速させたい。チームでもたくさん練習してきたので」。主将の乾は気持ちを高ぶらせた。　（高橋隆太郎）