バドミントン　奥原４強　山口破り、日本勢初の進出

　４種目が行われ、女子シングルス準々決勝で奥原希望（のぞみ＝日本ユニシス）が山口茜（再春館製薬所）に２−１で逆転勝ちし、シングルスの日本勢で男女を通じて初めてベスト４に入った。１８日の準決勝でプサルラ（インド）と顔を合わせる。女子ダブルスは高橋礼華（あやか）松友美佐紀組（日本ユニシス）が準決勝を勝って銀メダル以上が確定し、同種目の日本勢で２大会連続の表彰台となった。１８日の決勝でリターユヒル、ペデルセン組（デンマーク）と対戦する。　（共同）

　五輪の準々決勝という大舞台で実現した、女子シングルスの日本人選手同士の対戦。試合後は敗者だけでなく、勝者にも笑顔がなかった。この種目で日本勢初の４強入りを果たした奥原は「きょう戦った茜ちゃんの分まで、私らしいプレーをこの特別な舞台で出したい」といつも以上に表情を引き締めていた。

　日本代表のチームメートであり、今大会も同部屋で仲のいい先輩と後輩。これまでも直接対決はしており、その点での違和感はないが、せっかくの五輪。「もうちょっと先の準決勝、決勝で戦えたらもっと盛り上がれたし、お互い素直に喜べたと思う」とメダルのかからない準々決勝の対戦を残念がった。

　試合は実力差をはっきり示した。山口には国際大会で過去５戦全勝。１ゲームも許したことがなかった。第１ゲームは「当たって砕けろという感じでいった」という山口に圧倒され、１１−２１で落としたが、奥原は「プレッシャーの中でうまくいかない覚悟をして練習してきた」と余裕があった。

　相手をコートの奥に追いやるクリアを多用し、あえて山口に攻撃させた。失点のリスクはあるが、しのげば相手は攻め疲れるばかり。「自分の方が茜ちゃんより体力が強い自信はある」と走り回った。一方の山口は「ラリーが長くなり、自分が攻めるばかりで体力を奪われた。戦い方のパターンが少なかった」と術中にはまったことを認めた。

　第２ゲームは奥原の２１−１７とまだ競り合ったが、さらにコートの四隅にシャトルを飛ばした第３ゲームは山口の足が止まり、２１−１０と一方的になった。

　山口を思ってか、奥原は４強入りの感想を問われても「特に何も思わない。この先が勝負なので」と多くを語らなかった。一人の選手に絞られた日本の思いを背に、準決勝に挑む。　（リオデジャネイロ・井上仁）