紙面から

卓球団体 日本女子「銅」 解き放たれた涙、笑顔

銅メダル獲得を決め記念撮影する(左から)石川、福原、伊藤=リオデジャネイロで(隈崎稔樹撮影)

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 女子団体の3位決定戦で2012年ロンドン五輪銀メダルの日本がシンガポールに3−1で勝ち、2大会連続の表彰台となる銅メダルを獲得した。

 最初のシングルスで福原愛(ANA)が敗れたが、シングルスの石川佳純(全農)とダブルスの福原、伊藤美誠(みま=スターツ)組、シングルスの伊藤が3連勝した。

 決勝は中国がドイツを3−0で退け、3連覇を達成した。 (共同)

◆福原 理想のチームに

 白球の行方を追っていた緊張感が一気にほどけると、込み上げてきた感情に任せて福原は号泣した。卓球女子団体の3位決定戦で、日本女子は銅メダルを獲得。チーム最年長の27歳で初めて主将として五輪に臨んだ福原は、「負けても勝っても私が動じたら駄目だと強く思っていた。絶対に泣かないと頑張っていたけど、最後に勝って、我慢できませんでした」と照れくさそうに笑った。

 第1試合で福原が敗れたが、第2試合で石川が相手エースのフェン・ティアンウェイを破って流れを引き戻した。第3試合は福原と伊藤のダブルス。第1ゲームを落として追う展開になったが、徐々に盛り返して勝利。第4試合は伊藤もフェンにストレート勝ちした。

 福原が主将になったのは昨年9月のアジア選手権から。五輪では規則上必要なものではなく、村上監督は「決めていません」と言うが、福原自身が買って出た。

 当初はチームに貢献するための主将像に悩み、気を使いすぎて体調も崩した。それでも、2月の石川の誕生日に似顔絵をあしらったケーキをサプライズで用意したり、7月の仙台合宿では伊藤を連れて牛タンやすきやきを食べに行ったり。コートの中だけでなく、卓球から離れている時から距離を縮めるよう細かく心を配った。

 主将の思いが形になって表れたのが、準決勝で敗れた翌日の15日。気落ちしていた福原と伊藤に、石川が「あす勝てばメダルだから頑張ろう」と明るく語りかけた。そうした声掛けは苦手だった石川だが、「自分からどんどん声をかけて、励ましていけたらと思って」と自然に言葉が出たという。

 これでチームはまとまった。3位決定戦では互いに相手の特徴を伝えたり、ミスをしても励まし合ったりし、伊藤は「すごく心強い先輩たち」と感謝した。

 3人が一つになって、つかんだ2大会連続のメダル。最後に理想のチームにたどり着いた福原は、「最高のプレーができるように、気付いたこと、できることは全てやったつもりです」とまた目を潤ませた。 (リオデジャネイロ・井上仁)

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