紙面から

卓球男子団体「銀」 日本、王者に迫る

第2試合でポイントを奪いガッツポーズする水谷隼=リオデジャネイロで(共同)

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 男子団体の決勝が行われ、日本は中国に1−3で敗れて銀メダルだった。中国は団体で男女とも3連覇した。

 シングルスの第1試合で丹羽孝希(こうき=明大)が敗れた後、水谷隼(ビーコン・ラボ)が勝利。だが第3試合のダブルスで丹羽、吉村真晴(まはる=名古屋ダイハツ)組、第4試合のシングルスで吉村が連敗した。 (共同)

◆水谷 決勝で新境地

 絶好調の水谷に2度目の出番は回ってこなかった。男子団体の決勝戦。2番手で接戦の末に中国の許〓を破ったが、丹羽と吉村でダブルスを含めて3敗。自分が控える第5試合を前に終止符が打たれ、「勝っても負けても(自分が)白黒つけたかった気持ちはある」と複雑な心境を明かした。

 それだけ自信があった。許〓には過去12戦全敗、3月の世界選手権団体戦で1ゲームも奪えず完敗したが、この日はフォアドライブのラリーで互角以上に打ち合い、バックハンドでもコースを鋭く突いた。2ゲーム先取で楽勝ムードの中国を慌てさせた。

 追いつかれて迎えた第5ゲーム。序盤から追う展開で7−10とマッチポイントを握られたが、「目の前の一本を取ることしか考えていなかった」と落ち着いていた。サーブからの3球目攻撃など、土壇場で格上をのんでかかって5連続得点。「五輪の決勝で中国選手を破ったことは、メダル以上に価値があるかもしれない」と感慨深げだった。

 個人戦で日本男子初の銅メダルを獲得し、団体戦も自身は負けなしで終えた。日本男子の倉嶋洋介監督は「シングルスのメダル獲得でプレッシャーから解放された強さが団体戦でにじみ出ていた」とエースの新境地を評する。

 一方、自分一人の力では団体戦には勝てず、今回ともに戦った丹羽や吉村を含め「もっと僕を脅かす選手がたくさんでてきてほしい」と若手の成長に期待を寄せる。

 今大会の活躍で競技への注目度が増し、「途中からは自分の成績より、最高のパフォーマンスをして卓球の魅力を伝えたかった」と振り返る。メダルと同じくらい重視した「卓球のイメージを変えたい」という目標にも、手応えをつかんだ3度目の五輪だった。 (リオデジャネイロ・井上仁)

第3試合でプレーする丹羽(左)、吉村組=隈崎稔樹撮影

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◆「勝てた…」丹羽・吉村

 メダルの重みをかみしめた。「小学生の時からの夢。五輪で金メダルを懸けた戦いができるなんて幸せ」。吉村は7月の直前合宿で肩、腰、首を痛めた。重圧から発疹も出た。「苦しかったけど、この舞台で戦えたことが誇り」

 丹羽は喜びと悔しさが交錯した。「うれしいけど、金メダルをとるチャンスがあった。勝てたと思う」。確かに初めて中国の背中が見えた戦いだった。

 第2試合で水谷が勝ち、1−1で迎えた第3試合のダブルス。第1ゲームを先取し、第3ゲームも9対7でリードした。ところが、ここぞの場面で攻め急ぎ、ミスが出る。一方の中国は集中力が増し、動じない。経験の差。あと一歩が足りなかった。

 東京五輪へ宿題ができた。打倒中国。23歳の吉村は「強くなって東京で大きな花火を打ち上げたい」と誓い、21歳の丹羽は「メダルをとったからには、もっと頑張る」と決意を口にした。 (森合正範)

※〓は、日へんに斤

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