紙面から

レスリング69キロ級・土性 21歳勢い「悔し涙、無駄でなかった」

ロシアのナタリア・ボロベワ(奥)を破り優勝し、喜ぶ土性沙羅=今泉慶太撮影

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 登坂、伊調の劇的な逆転金メダルのあとで、土性は「勢いに乗れた。自分も頑張ろうという気持ちになった」という。

 女子69キロ級決勝。2点をリードされた第2ピリオド、窮地を打開したのは代名詞のタックルだった。

 それまで昨年の世界選手権覇者、ボロベワに攻め手を封じ込まれ警告で失点を重ねていた。

 「背が高い選手ばかり。正面から突っ込んではなかなか取れない。横に振るなど工夫した」。自分の身長より15センチ高い相手がバランスを崩した一瞬を逃さず、脚にしがみつき2点を挙げた。

 同点のまま終了し、一度により高い得点を挙げた土性の優勢勝ち。「タックルで逆転し、金メダルを取れた」。充実感が体を突き抜けた。

 頂点を引き寄せた土性の最大の武器。積極的な攻撃を続けられたのも、守りが向上したから。今大会は5試合で計8失点。テクニカルフォール勝ちした2回戦は零封、その他の4試合はいずれも2失点だった。

 指導する栄チームリーダーは「失点がなくなった。10点取っても12点取られる。そういうところを直した」と明かす。

 土性自身も「グラウンドでの失点が多かったので、五輪までにガッチリと練習した。スタンドの状態でもなるべく脚を触らせないよう、スパーリングも意識してやってきた」と胸を張る。

 堅い守備が安定した試合運びの基礎となり、長丁場を最後まで戦いきることができた。

 世界選手権では、3大会連続で表彰台に上りながら届かなかった金メダル。初の五輪でついに引き寄せ「なかなか取れなくて悔し涙を流した。笑顔でいられることがうれしい。無駄ではなかった」としみじみ。

 まだ21歳。「2020年は東京で五輪がある。連覇できるように頑張りたい」。レスリングを始めた津市の「一志ジュニア教室」の先輩、吉田沙保里のように金メダルを積み上げる。  (高橋隆太郎)

◆土性 一問一答

  登坂、伊調に続く3個目の「金」をもぎ取った。土性は顔いっぱいに笑みを浮かべ、喜びを語った。 (共同)

 −最後に逆転した。

 「そんなに点差が開かなかったら最後に逆転できると、諦めずに攻めたことが良かった。しっかりタックルで逆転して、金メダルを取れた」

 −登坂、伊調の試合は見ていた。

 「アップ会場で映像を見ていた。最後まで諦めずに頑張っているのを見て、負けていられないと思った。勢いに乗れたし、(2人の金メダルは)重圧にはならなかった」

 −これまで一番きつかった瞬間は。

 「世界選手権でなかなか金メダルを取れず、悔し涙を流した。本番の五輪で金メダルを取って、笑顔でいられることがうれしい。涙は無駄じゃなかったと思う」

 −日本の重量級の歴史を変えた。

 「重量級で、自分が一番初めに取れたのはうれしい。2020年は東京で五輪があるので、次は東京に向けて、2連覇できるように頑張りたい」

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