紙面から

男子400リレー「銀」 息ピタリ「夢実現」

男子400メートルリレーで銀メダルを獲得し、日の丸を背に笑顔の(左から)山県、飯塚、ケンブリッジ、桐生=リオデジャネイロで(佐藤哲紀撮影)

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 【リオデジャネイロ=本社五輪取材団】リオデジャネイロ五輪第十五日の十九日(日本時間二十日)、陸上の男子400メートルリレー決勝で、山県(やまがた)亮太(24)=セイコーホールディングス=、飯塚翔太(25)=ミズノ=、桐生祥秀(よしひで)(20)=東洋大=、ケンブリッジ飛鳥(23)=ドーム、東京高出身=で臨んだ日本がアジア新記録となる37秒60の二位で、銀メダルを獲得した。この種目で史上初のメダルだった二〇〇八年北京五輪の銅を上回った。

 男子50キロ競歩は荒井広宙(ひろおき)(28)=自衛隊=が銅メダルに輝いた。日本勢が競歩でメダルを獲得するのは初めて。荒井は他選手を妨害したとして一度は失格となったが、その後、日本が抗議をして認められた。

 シンクロナイズドスイミングは、チームのフリールーティンを行い、日本がデュエットに続く銅メダルを手にした。

 レスリングの男子フリースタイル57キロ級で樋口黎(れい)(20)=日体大=は決勝でジョージアの選手に判定負けし、銀メダルを獲得した。

 日本のメダルは金十二個、銀八個、銅二十一個の合計四十一個となり、前回ロンドン五輪の三十八個を抜いて史上最多となった。

◆予選のアジア新更新

 日本が力を結集して銀メダルを獲得した。ゴールした後、四人のメンバーが誰からともなく駆け寄り、抱き合う。大きな日の丸を肩に掛け、スタジアムをゆっくりと一周。スタンドの応援に手を振った。

 世界を驚かせる快走だった。一走の山県が反応良く飛び出し、二走の飯塚につなげる。飯塚も三走の桐生もスピードを落とさず、ジャマイカとほぼ並んでアンカーのケンブリッジにバトンを渡す。ケンブリッジはスーパースターのボルトに必死に食らいつき、二着でゴールに飛び込んだ。「史上最強」と言われたメンバーが日本陸上界に新たな歴史をつくった瞬間だった。

 山県は「予選よりも良いスタートが切れた。歴史をつくれてうれしい。夢が実現できると証明できた」と喜びを爆発させた。飯塚は「思ったよりすごくアドレナリンが出た。(バトンを)渡してくれると信じて思い切った」と納得の表情でチーム一丸の勝利を強調した。

 技術の向上でつかんだメダルだった。日本はバトンパスの精度を上げて、他国に対抗した。もらう側が手のひらを地面に向け、渡す側が下から上に差し込む「アンダーハンドパス」は、タイミングなどが難しいが、成功すれば、タイムを縮めることができる。日本は五輪の決勝という大舞台で、予選で出した37秒68のアジア記録を更新する37秒60を出した。四人の息がピタリと合った勝利だった。

 桐生は「最高の気分。より良い順位で(バトンを)渡せるように、がむしゃらに走った」。ケンブリッジは「絶対にメダル取るぞと思って走った。あんまり覚えていないが、最高でした。いろんな人が応援してくれて、力になった。四年後はより良いメダルを取りたい」と胸を張った。 (リオデジャネイロ・森合正範)

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