紙面から

シンクロ 日本、さらなる高みへ

 8人で演技するチームのフリールーティン(FR)で、日本(乾、三井、箱山、丸茂、中村、中牧、小俣、吉田)が95・4333点をマークし、テクニカルルーティン(TR)との合計189・2056点でデュエットに続く銅メダルを獲得した。ライバルで4位だったウクライナに0・5976点差で競り勝ち、この種目で3大会ぶりの表彰台に立った。

 ロシアが合計196・1439点で5大会連続の金メダル。192・9841点の中国が銀メダルを手にした。 (共同)

 得点を待ち緊張していた頬に、歓喜の涙が流れた。チームFR。納得の95・4333点をたたき出した日本は、宿敵のウクライナを上回って銅メダル。選手たちは井村雅代監督の胸に飛び込んだ。

 切れのあるリフトで流れをつかみ、最後は20秒を超える脚技で観衆を魅了。ほぼミスなく演じきった。同じく銅メダルを獲得したデュエットとのダブル表彰台は、アテネ五輪以来、12年ぶり。「日本にメダルを取り戻す。その目標を自分たちの手で達成できたことは、すごく幸せです」。主将の乾は、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 世界選手権、五輪最終予選と続いたウクライナとの激闘を制し、強豪の一角に返り咲いた日本。悲願のメダル奪還の裏で、上位2強との差を痛感する大会にもなった。4年後の東京五輪へ、さらなる飛躍が期待される日本は、断然トップのロシアはともかく、まずは中国を追い掛けなければならない。

 そのために井村監督は「もう少し、大型化しないと駄目」と語る。長い手足を武器に芸術性を押し出したウクライナに、日本は「短いが、丈夫で長持ち」の脚技で対抗。高い技術、同調性で勝負できたが、それも2強に対しては限界があると見る。

 「大きな選手を一時そろえたが、甘ったればかりだった。強いハートを持った大型選手をそろえる。上に行くとはそういうこと」と次代を担う人材の発掘、育成の重要性を強調した。

 ただ、強い気持ちが身長差を埋めることも、この五輪で証明した。「私たちは小さいが、体格差をカバーできる技術を持っている。ダイナミックで、他の国に見劣りしないパフォーマンスをしていかなければいけない」。2強を見据える乾の視線は、鋭さを増した。 (高橋隆太郎)

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