紙面から

陸上男子400リレー 「10秒台日本」銀の衝撃

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 【リオデジャネイロ=本社五輪取材団】リオデジャネイロ五輪は第十五日の十九日(日本時間二十日)、陸上男子400メートルリレーで日本が37秒60のアジア新記録で銀メダルに輝いた。男子50キロ競歩は荒井広宙(ひろおき)(28)=自衛隊=が三着でゴールした後に失格になったが、抗議が認められて銅メダル。

 レスリングは男子フリースタイル57キロ級で樋口黎(れい)(20)=日体大=が銀メダルを獲得。シンクロナイズドスイミングはチームで日本が銅メダル。日本のメダルは金十二、銀八、銅二十一の計四十一個で、前回ロンドン大会の三十八個を抜いて史上最多となった。

◆バトンパス 世界最高の技

 陸上男子400メートルリレーでは優勝したジャマイカと三着でゴールしながら失格となった米国は、全員が100メートルの自己ベストで9秒台の記録を持つ。三位のカナダも二人が9秒台で走る実力者(記録は国際陸上競技連盟のホームページより)。まだ誰も10秒の壁を破っていない日本が銀メダルを獲得したのは、チームワークに加え、どの国もまねできないバトンの受け渡し技術も要因の一つだ。

 日本は次走者がよりスムーズに加速できるように、手のひらを地面に向けてバトンを受け取る「アンダーハンドパス」を長年磨いてきた。二〇〇八年北京五輪のこの種目で銅メダルに輝いたメンバーの一人、塚原直貴選手(富士通)は「日本は9秒台で走る選手はいない。そこをバトンの受け渡しの精度で補っている」と説明。決勝では一走から二走への受け渡しでややもたついたが、その他はスムーズにバトンが渡った。

 塚原選手は一方で、ジャマイカのボルト選手が手のひらを上に向ける「オーバーハンドパス」でバトンを受け取った後に、左手から右手にバトンを持ち替えたことも指摘。圧倒的な速さを誇るボルト選手だからこそ問題にならないが、加速を妨げる動きだ。

 日本は米国をもしのいで、二番手でゴールを駆け抜けた。「アメリカを抑えての銀メダルは(価値が)大きい」と塚原選手。技術に支えられた日本の快挙は、王者も認めるところ。レース後、ボルト選手は日本の選手と握手して健闘をたたえ合い、一緒になって写真に納まった。

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