紙面から(パラリンピック)

陸上・男子5000 樋口4位、世界に肉薄

男子5000メートル決勝力走する樋口政幸=共同

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 「メダルに届かない種目ではない」。日本と海外勢との力の差が最も大きいといわれる種目の一つ、陸上男子5000メートル(車いすT54)で樋口政幸(37)が決勝レースに進出。3位に0・17秒差に迫る力走を見せ、4位となった。

 10人全員がだんご状態で突入したラスト1周。体力の温存に成功していた樋口は、ひときわ鋭いラストスパートで上位へ躍り出た。

 練習量に自信を持って臨んだ2012年ロンドン大会は、マラソンで13位、800メートルで予選落ちし、地鳴りのような歓声で沸く決勝レースは人ごとのようだった。リオに向けて持久力が必要とされるマラソンは捨て、瞬発力が生きる5000メートル以下の種目だけに懸けた。上半身を筋力トレーニングで徹底的に鍛え直した。身についたパワーを力まず発揮する感覚を養い、レース終盤で一気に爆発させる練習にも力を入れた。ロンドンより10キロ増えた体で臨んだ今回、4年間の取り組みが正しかったことを証明した。

 20年東京大会に向けた課題も見えた。「基本的な走力と瞬発力がまだ足りない」。ただ「方向性が間違っていないことが分かった」と充実感もにじむ。報道陣の質問攻めが終わると「あー、面白かった」。少年のような表情でつぶやいた。 (伊藤隆平)

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