紙面から(パラリンピック)

ゴールボール女子 日本、鉄壁破られ4強ならず

中国に敗れ、悔しい表情の安達(6)、浦田(5)、若杉(1)ら=共同

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 ロンドン・パラリンピックを制した「鉄壁」が破られた。

 中国とのゴールボール女子準々決勝。開始早々2点を先取し、流れをつかんだようにみえた日本が逆転負けした。同点に追いつかれた後は延長戦でも決着がつかず、1人ずつ交互に投げ合うエクストラスローにもつれこみ、3−5で敗れた。

 バレーボールと同じ大きさのコートで完全に目隠しをした3人同士が、鈴が入ったバスケットボール大のボールを転がし、ゴールを狙い合う。

 鈴の音と相手チームの足音を頼りにボールの弾道を想像して守る「サーチ(捜す)力」が世界一、二と評される浦田理恵(39)を中心に、三人が息をぴったり合わせてボールが来る方向に横一列に寝る「一文字」戦法は日本特有だったが、金メダルを取ってからは海外勢に研究されてきた。

 リオ行きの予選でも巧みなパス回しで壁がない場所を突かれ、失点を喫した。中国にはパラリンピック出場権を得る最後のチャンスだった昨年11月のアジア・パシフィック選手権決勝で競り勝ったが、再戦では力負け。浦田は試合後、冷静さを保とうと努めたが、言葉がなかなか出ない。「ディフェンスは落ち着いていたと思う。これまで支え合ってきて悔いのないプレーはしたのですが…」

 2013年以降、試合球が弾みやすいタイプに変わったことも痛手だった。ボールが「一文字」を乗り越えやすくなったからだ。

 欠端瑛子(23)は「バウンドボールでディフェンスがかき回された。この負けから、また次の舞台へ…」と号泣。安達阿記子(33)も「決めるべきところで外してしまった。世界のレベルが上がり、厳しい大会だった」と大粒の涙を流した。 (伊藤隆平、村瀬悟)

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