紙面から(パラリンピック)

走り幅跳び・400メートルリレー 芦田選手 陸上打ち込み、病と闘う

男子走り幅跳び(切断などT47)決勝芦田創選手の跳躍=リオデジャネイロで(共同)

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 陸上を始めた七年前から、右腕の腫瘍の進行が止まった。そして、パラリンピックにたどり着いた。芦田創(はじむ)選手(22)=トヨタ自動車=は十二日の400メートルリレーの第一走者を担い、銅メダルに貢献。十四日にあった個人種目の走り幅跳びは十二位に終わったが、「必ずまたパラリンピックに戻ってくる」と誓った。

 五歳のころ、右肘に「デスモイド腫瘍」が見つかった。放射線治療や手術をしても、右腕のあちこちに転移した。十五歳の時、担当医に「これ以上メスを入れると腕が壊死(えし)する。切断した方が良い」と言われた。

 中学の陸上部で400メートル走にのめり込んでいたころだった。「切って陸上ができなくなるならその前に思いっきり走ろう」。不思議と、右腕の腫れは引いていった。半年後の検査で進行が止まったことが判明。担当医も驚いた。治療の影響などにより、腕の長さは十歳ぐらいで止まった。障害者陸上では、片側の前腕部に障害がある選手らの「T47」クラスに分類される。

 走り幅跳びの一本目のジャンプはファウル。二、三本目は踏み切り位置の手前から跳び、距離が伸びなかった。「銅メダルのうれしさより、幅跳びの悔しさの方がずっと大きい」。四年後の東京での雪辱を期した。 (伊藤隆平)

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