紙面から(パラリンピック)

走り幅跳び・高田 会場の音で乱れ 補助役の声聞こえず

女子走り幅跳び決勝8位となった高田千明=田中久雄撮影

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 高田千明(31)=東京都港区、ほけんの窓口グループ=は自己ベストを跳んだ後、会場の歓声や音楽にペースを乱された。

 視覚障害者がアイマスクで完全に目をふさいで走る陸上女子走り幅跳び(視覚障害T11)は、「コーラー」と呼ばれる補助役が砂場の踏み切り位置近くで呼び、手をたたいて誘導する。日本では騒がしくならないよう他の種目と並行して実施しないが、リオ大会では表彰式とも重なり、高田は「(コーラーの)声が全く聞こえない時もあり、真っすぐ助走ができなかった」と困惑気味に振り返った。

 1本目の跳躍は練習直後だったこともあって真っすぐ走るイメージができ、自己ベストの4メートル45を記録。その後の5本中3本は真っすぐ助走できず、ファウルになり、8位に終わった。

 騒がしい環境で競技するのに慣れているのか、優勝したブラジル選手のファウルは1本だけ。高田は「そういうところでも走れるようにならなくてはいけないのかもしれない」と反省する。

 生まれつきの弱視。東京都大田区内で過ごした小学生のころから、球技への参加は難しく、「スタートとゴールが分かれば同じようにできるから」と徒競走が好きだった。20歳で失明したが、体を動かしたいと翌年に陸上を始めた。競技活動の中で聴覚障害者のハードル選手の夫、裕士さん(31)と出会い結婚した。

 「自己ベストを跳べたことは良かった」と、今後に向けた手応えもつかんだ。

 (伊藤隆平、荘加卓嗣)

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