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東京都知事選

候補選び、参院選で棚上げ 政策論争ゼロ、有権者置き去り

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 東京都知事選(十四日告示−三十一日投開票)が迫る中、自民党は五日、候補者決定を十日投開票の参院選後まで先送りする方針を明らかにした。出馬表明した小池百合子元防衛相(63)に反発し、自民都議団が増田寛也元総務相(64)を推す「内輪もめ」の構図になり、参院選への悪影響が懸念されるためだ。一方、民進党も野党四党が共闘する参院選に縛られ、候補者選びが足踏み状態。主要政党が支援する候補者の政策論争がまったくなく、有権者置き去りの現状に、識者からは懸念が出ている。 (都政取材班)

 「参院選が終わってから結論を出したい」。五日昼、自民党本部。小池氏との会談に臨んだ都連会長の石原伸晃経済再生相が、こう切り出した。党推薦を求める小池氏は「それでは選挙準備が間に合わない」と食いさがった。

 石原氏は会談終了後、記者団に「参院選の東京選挙区に擁立した二人の勝利が最優先課題。当面はそれに集中し、(小池氏の推薦可否は)その後になる」と先送りを言明した。小池氏は「出馬の意思は全く変わらない」と強調した。小池氏か、増田氏か。自民系候補が複数出馬する分裂選挙が取り沙汰されるなか、都連幹部は「参院選の大事な時期なのに、内輪もめはマイナスにしかならない」と説明する。

 小池氏が突然の出馬会見をしたのが六月二十九日。それをけん制するように、自民都議団は三日、行政経験の豊富な増田氏に立候補を求める方針を決定。四日には、東京二十三区の区長有志も増田氏に出馬を要請した。

 仮に自民党が推薦候補を十一日に決めたとしても、告示まではわずか三日。選挙ポスターの印刷のほか、事務所やスタッフの確保、公約の作成など準備は山ほどある。自民都連関係者は「できる部分を前倒しするしかない」と言う。

 民進党都連は五日、長島昭久・元防衛副大臣(54)を軸に検討することを選対会議で確認したが、長島氏は自民衆院議員の元秘書で、国政でのスタンスは保守寄りとされる。民進が擁立しても共産党の支援は得にくく、ある都議は「参院選で共闘する野党四党の枠組みが、都知事選で崩れる」と話す。

 都連会長の松原仁衆院議員はここ数日、増田氏について「民進党的な発想を分かち合うことができれば、主導的な擁立になる」と述べるなど、支援をにおわせてきた。しかし、この日は「自民が応援する増田氏に同調できない。野党四党の枠組みを尊重する」と一変。こちらも、参院選への悪影響を避けたい思惑があるとみられる。

 ある区議によると、支持者らから「自民が推そうとする人に相乗りするのはけしからん」などと反発が出ていたという。

◆国政選挙とは分けて

<慶応大の曽根泰教教授(政治学)の話> 参院選と知事選は切り離して考えるべきだ。舛添要一氏を支援し、こうした事態を招いた自民党は、少しでも早く都民に候補者を示し、政策議論などを進める責任がある。

◆争点議論されてない

<専修大の岡田憲治教授(政治学)の話> 何がイシュー(争点)なのか全然議論されていない。都民に「東京都の最大の問題は何ですか」と聞いても頭に浮かばないはず。政党が「勝てる候補」にこだわり、知名度に頼るお祭り選挙を繰り返すことが懸念される。

 

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