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東京都知事選

大勝の小池氏、自公をけん制 「不信任難しいのでは」

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 東京都議会(定数一二七)で、小池百合子氏を知事選で支援したのは、勢力順位六位の会派「かがやけTokyo」(旧みんなの党、三人)だけ。増田寛也(ひろや)氏を推薦した自民と公明、鳥越俊太郎氏を支援した共産、民進などが大多数を占める都議会で、小池氏がどう理解を得ていくかが焦点になる。

 小池氏は選挙戦で、都議会との対決姿勢を打ち出したが、三十一日夜、当選後の会見で「都民のためになる政策の実現に向け、連携を取りたい」と説明。都議会の解散には議会側による知事不信任案の可決が必要だが、「これだけ多くの民意を得た私に不信任というのは、現実には難しいのではないか」とけん制した。

 自民党都連会長の石原伸晃経済再生相は三十一日夜、増田氏の支援者らに「完敗だった。力不足で申し訳ない」と述べた。公明党都本部代表の高木陽介衆院議員は、小池都政との関わり方について「都民の意思を尊重していくのが第一」と記者団に語った。

 小池氏の選挙戦は、自民の若狭勝衆院議員(比例東京ブロック選出)らが支援。政府高官は二十九日、小池氏らについて「反党的な行為だ」として除名処分を示唆しており、自民の対応が注目される。

 小池氏が、公約に掲げた知事給与の半減や独自の副知事人事には、議会の議決や同意が必要になる。次の都議会定例会は九月二十八日に開会予定で、その前に臨時議会を開くこともできる。来夏には任期満了に伴う都議選があり、小池氏が都議会で与党をどう築くか、手腕が問われる。

◆来夏都議選にらみ駆け引き

 都議会では、第一党の自民党と第二党の公明党が過半数を占め、主導権を握ってきた。大勝した小池百合子氏に、両党がどんな態度で臨むのか。来年夏の都議選もにらみ、駆け引きが展開されそうだ。

 都知事が政策を進めるには、予算案や条例案を議会で可決してもらう必要がある。ほぼ半世紀にわたって第一党を占める自民、それに同調してきた公明の存在は無視できない。このため、都の幹部が自公の有力都議を訪ねて政策判断を仰ぐなど、両党と官僚機構の事前調整によって物事が決まる風潮がある。

 その自公と対立した場合、都政が混乱する事例も。社会、共産両党の支援で当選した美濃部亮吉氏は少数与党に泣き、議会を「地獄」と呼んだ。無党派の風に乗って当選した青島幸男氏は、一議会で四十七もの条例案を否決された。

 しかし、議会側にも弱みがある。圧倒的な人気を誇る都知事が登場した場合、反対し続ければ議会が有権者の支持を失う恐れがあるからだ。石原慎太郎氏は初当選時、自公、民主、共産の支援候補を破った。単身で都庁に乗り込んだ形だが、ディーゼル車の排ガス規制など独自政策を打ち出す石原氏に自公が接近、最終的に与党となった。

 今の都議会は一年後の二〇一七年七月に任期満了を迎え、改選を控えている。自民は前回選で、候補者全員が当選する歴史的勝利だった。次回は議席を維持する守勢の選挙となることが予想される中、小池氏と対立するのか、接近するのかが焦点となる。

 

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