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東京都知事選

都知事選 論戦に熱

 参院選から一夜明けた11日、東京都知事選に向けた動きが加速した。前岩手県知事で元総務相の増田寛也(ひろや)氏(64)、元日弁連会長の宇都宮健児氏(69)、元防衛相で自民党衆院議員の小池百合子氏(63)が相次いで記者会見。14日の告示が迫る中、首都東京の今後を巡る論戦がようやく始まったが、公約の実現性は−。

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◆増田寛也氏 「集中是正」発言どこへ

 「都政の混乱を解決する先頭に立ちたい。現場で汗をかいている区市町村の話を聞き、気持ちにスイッチが入りました」

 増田氏は都庁での会見で、保育所の待機児童問題、介護の受け皿不足、首都直下地震という「三つの不安」解消とともに、知事日程の公開や海外出張のあり方にも言及し「都民が納得するルールをつくっていく」と語った。

 東京への一極集中による地方の人口減少で「地方消滅」の危機に警鐘を鳴らし、一極集中の是正を訴えてきた増田氏。総務相時代には、東京など大都市の税収の一部を国税化して地方に再配分する仕組みも導入した。

 都知事を目指すうえで、これまでの主張との整合性をどう図るのか。会見でその点に質問が相次いだ。

 これに対し、増田氏は従来の東京の成長モデルについて「地方の活力を吸い上げるような一極集中に危惧を覚えた」と説明。「少子化、人口減の問題を指摘してきたけじめとして、私自身が都政のトップに立って解消する責任がある」と語り、東京が少子化問題などの解決策を示すことで、日本をけん引することができると訴えた。

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◆宇都宮健児氏 4野党共闘成立なら?

 「弁護士の経験から、都民の困り事の多くは、都政を変えればより根本的な解決ができるんだと考えている」

 宇都宮氏が都知事選に挑戦するのは、二〇一二年十二月から四年で三度目。午後二時からの記者会見では「過去二回の選挙で私も、陣営のメンバーも鍛えられた。運動の輪も広がっている」と強調した。前回の都知事選後、仲間と都政の勉強や都議会傍聴もしてきたという。

 「クリーンな都政」を掲げ、都民がチェックする評議会などを設置してむだ遣いを洗い出し、福祉の充実に充てると主張。待機児童ゼロ、返済不要の奨学金創設などを選挙公約に盛り込んだ。

 「これから野党各党を回って支援要請をしたい」と語った宇都宮氏。会見では、民進、共産、社民、生活の野党四党による統一候補がほかに擁立された場合、宇都宮氏はどうするのかという質問が相次いだ。

 これに対し、「野党共闘で選挙に出られる方は、都政をどう変えるのか。その議論をまずやりたい」と説明。その上で、「誠実に話し合って、その結果どうなるかはまた記者会見を開きたい」と語った。

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◆小池百合子氏 「都政透明化」どう実現

 「都民の都民による都民のための都政を取り戻す。一部の方々によっていつ、どこで、何が決まっているのか分からない状況を脱出したい」

 小池氏が選挙公約「東京大改革宣言」で、真っ先に挙げたのが都政の透明化。記者会見で「一部の方々」とは具体的に誰なのかと尋ねられると、「それが分からないから追及していきたい」と語った。

 身を切る改革として示した知事給与の削減規模に関しては「ずばり半分」と説明。「都政の信頼回復がスタートラインであり、政策を実行する最大のエネルギーになる」とも述べた。

 選挙公約ではほかに、空き家を活用した小規模保育や女性の起業応援、東京五輪に向けた受動喫煙防止対策などを列挙。「こんなに残業ばかりして、へとへとになっている国はない」として、まずは都庁職員の残業ゼロを目指すことも盛り込んだ。

 ただ、小池氏がこれまでに打ち出した「知事任期を三年半にする」との主張は実現が難しいと指摘されており、会見では自ら言及しなかった。記者から質問されると「全く無理だよね、で片付けることはないと思う」と強調した。

 

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