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東京都知事選

「私は民主主義1期生」 鳥越氏「参院選結果に危機感」

応援に駆け付けた古賀茂明氏(左)と握手する鳥越俊太郎氏=12日午後、東京都千代田区で

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 東京都知事選の告示が二日後に迫った十二日、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が野党統一候補として名乗りを上げた。「戦後の平和と民主主義の教育の中で育ってきた第一期生」。出馬会見で、安倍政権や、改憲勢力が衆参で三分の二を握った国会と一線を画した都政運営を訴えた。 

 新聞記者出身で、キャスターとして社会問題に切り込んできた鳥越氏。「昭和十五(一九四〇)年の生まれ。空襲も、防空壕(ごう)に逃げ込んだことも、よく記憶している」と、戦後日本の平和の尊さを繰り返した。

 十日投開票があった参院選で改憲勢力が票を伸ばしたことに危機感を抱いたという。「開票状況を見ていて、戦後七十年間、平和な時代を過ごしたのに、時代の流れがちょっと変わりはじめたなと感じた」と振り返る。

 翌十一日、民進党幹部に出馬の意思を伝えた。「政党から打診を受けて出馬に踏み切ったということではない。私から手を挙げた」

 「常に前向きで楽天的であることが強み」と語るが、六十五歳で大腸がんが見つかり四回の手術を受けており、健康を不安視する声も。しかし、ジムに週三回通っていることなどを説明し、「がんになる前より元気だ」とアピールした。

 急きょ立候補を決めたため、小池百合子元防衛相(63)や増田寛也(ひろや)元総務相(64)の公約は「あまり読んでいない」。会見では行政の経験がないことを問われたが、「誰でも経験がないところから始まる。どれだけ誠心誠意、対処する気持ちがあるかだ」と強調。特に介護や育児の問題に強い関心を示し、「十年、二十年先を見据えた一手を打つことが大事。他の金を削ってでもここに注ぎ込みたい」と語った。

◆出馬調整 宇都宮氏「政策が重要」

 候補者選びで出遅れていた野党四党は参院選に続き、知名度のある鳥越俊太郎氏を統一候補として支援する。既に出馬表明している元日弁連会長の宇都宮健児氏(69)との間の候補者調整が、与野党対決の鍵になるとみて最終調整が続く。

 十二日午後、都内のホテルで開かれた鳥越氏の記者会見。そこに突然姿を見せたのは、元経済産業省課長の古賀茂明氏(60)だった。民進党都連は古賀氏に出馬を要請しながら、鳥越氏支援へと方針を一転させていた。

 「鳥越さんが出るなら応援する。市民の声が一つに結集できるように健闘を祈ります」と古賀氏。そのエールを受け、鳥越氏は出馬について「悩んだ。幸か不幸か、当選したら大変な激務が待っているから覚悟がいる」と打ち明けた。前日の十一日、出馬意向を民進党幹部に伝えたという。

 鳥越氏の出馬会見が終了した一時間後には、民進と共産、社民、生活の野党四党が、鳥越氏を統一候補として擁立する方針で一致した。

 自民党は、増田寛也氏と小池百合子氏の間で、事実上の分裂選挙になる。これに対し、野党が候補者を統一して挑む構図にする上で、鍵になるのが宇都宮氏の動向だ。

 十二日午前、宇都宮氏は記者団に「どんな政策を掲げて戦うかが重要」と態度を保留した。

 前回選挙でも、脱原発を掲げる細川護熙元首相が告示直前に出馬を表明。宇都宮氏との間で野党の得票が分散し、自民、公明両党が支援する舛添要一前知事に利する形になっていた。

 十日に投開票された参院選の結果をみると、東京選挙区の比例代表の得票数は、自公二百八十四万票に対し、野党四党で二百四十八万票と拮抗(きっこう)。「与野党対決を制するには宇都宮氏と鳥越氏の候補一本化が欠かせない」(民進幹部)とみている。

 会見を終えた鳥越氏は、同じホテルを訪れた宇都宮氏と約十五分間、意見を交わした。宇都宮氏は会談後、「出馬取り下げも含めて、多くの人が納得できる形で仲間と相談して決断したい」と記者団に述べた。

 

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