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東京都知事選

主な候補予定者の共同会見<詳報> 

共同会見で、手を合わせる(左から)宇都宮、小池、鳥越、増田の各氏=東京都千代田区で

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<お断り> 宇都宮健児氏は13日夜に立候補を取りやめる意向を表明しましたが、共同記者会見の時点では立候補の意思があったため、発言などを掲載しました。

◆都政の信頼回復

 小池百合子氏 四年間で三人のうち二人がカネの問題で任期途中で辞めたのは異常だ。個人に問題があった部分も否定できないが、構造上の問題がないか。もっと情報公開し、透明化し、都民の目の前にさらすことでバタバタ劇は繰り返さない。カネの問題で独立した委員会をつくる。

 鳥越俊太郎氏 舛添要一前知事の問題では都議会もメディアもチェックできなかった。議会とメディアがチェックする機能を発揮しなければならない。

 増田寛也氏 まず知事サイドから詳細な日程やさまざまな情報を公開していく。緊張感を知事本人が持つことが大事だ。議会に努力をしてもらう必要がある。都庁に都民からの批判を受け止める仕組みが出来上がっていなかったのではないか。

 宇都宮健児氏 舛添氏の公用車の私的利用や高額出張費は都民の税金。本来なら議会や職員がチェックすべきだが、十分できてこなかった。都民の目で都政をチェックする「都民評議会」の設置を提案している。行政から独立した強力な権限を持つ行政監視オンブズマンを置いてチェックさせる。

◆知事になる資格 

 鳥越氏 一九四六年に小学校に入り、戦後、東京がどうなってきたかも分かっている。歴史的に物を見る目を使い、都政をきちっと執行していきたい。実行力で評価してもらえば幸いだ。

 増田氏 山積する課題を解決する実行力がいま一番、都政に求められている。四年間、決めた方針をやり遂げる責任感、政治資金の問題、クリーンさ。こうしたものを行政の現場で生きてきた人間として培ってきた。区市町村長たちとの対話を続け、背中を押された。

 宇都宮氏 都民が抱えている困り事、悩み事を受け止める能力があるかどうかが重要だ。弁護士として、貧困で苦しんでいる人の相談に長年当たってきた。都民の痛みが分かる、理解する、寄り添える能力が一番重要ではないか。

 小池氏 一言で言って「たまには女性にしたらいいんじゃないの」と思っている。日本が抱える課題は男目線のものが多い。目線を変えることで潜在力がパッと花開くこともある。クールビズはあまり予算はかかっていない。発想を変えるだけで社会が変わった。

◆人生の原点 

 宇都宮氏 大学時代に差別された女性の手記を見て、人助けができる弁護士を目指した。

 小池氏 十代から中東・アラブで異文化に触れてきた。その後もそれぞれの状況で何をすべきかを見いだすことを心がけている。

 鳥越氏 報道の現場を歩いてきた。現場を歩き、人々の声に耳を傾けていきたい。

 増田氏 農林省の役人から参院議員になった父親から、現場を見る大事さ、その場に飛び込んでいくことを学んだ。

◆安倍政権 

 小池氏 憲法問題は自民党で議論されている流れでいい。成長戦略をより早く、より意味のある形で実現できるのは東京だ。成長戦略の一丁目一番地は女性が輝く社会づくり。東京で実現していきたい。

 鳥越氏 戦後最悪の内閣だ。公約になかった特定秘密保護法を国民の反対を押し切って強行し、集団的自衛権も国民に問うこともなく閣議で決定した。安全保障法制も国民の過半数が反対する中で強行採決した。今度は憲法に手をつける。緊急事態条項は、重要事態が発生した時、首相は憲法を停止し、政令を別に作ることができると自民党改憲草案に書いている。かつてヒトラーがやったことだ。

 増田氏 アベノミクスは道半ば。地方創生や一億総活躍は、国民会議で出てきた、働き方の改革をきっちりと行っていくことが必要だ。今問われているのは都知事選。憲法の問題をそこに持ち込むのはどうか。政治家として今の憲法の精神を十分生かす。もし変えるなら、十分に議論する必要がある。

 宇都宮氏 特定秘密保護法は国民の知る権利、報道の自由、取材の自由を侵害する憲法違反の法律だ。安保法制は明確に憲法九条に違反する。憲法学者の多くが指摘している。海外で戦争ができる国づくりをやる第一歩だ。自民党の改憲草案は極めて危険だ。九条を改憲し、緊急事態条項で基本的人権を大幅に制限する内容だ。アベノミクスは明確に失敗している。

◆原発・エネルギー 

 鳥越氏 原発は災害が起きたら、全くコントロールできない。できる限り早く原発依存をやめる時代に入りたい。デンマークでは、港に風力発電の風車が林立していた。日本もそういう時代を切り開くべきだ。

 増田氏 原発依存度低減は、国としてやる必要がある。都民のエネルギーをどう守るかは重要。自然エネルギーに切り替えて、供給を確保するというわけにはいかない。安全性が確認された原発を動かす政策は認めていくべきだ。

 宇都宮氏 地震大国に五十四基もの原発をつくったのは誤りだった。原発の再稼働、輸出に反対する。東京は福島の原発で発電した電力の最大消費地。避難者を最大限支援する責任がある。都は自然再生エネルギーをつくる会社に支援すると同時に、都独自の自然再生エネルギー開発に全力を挙げるべきだ。

 小池氏 環境先進都市・東京を強力に進めたい。メガソーラーではなく家庭で(太陽光発電などを)やるだけでずいぶん違う。日本中で照明器具をLED(発光ダイオード)化すると、十三基の原発に匹敵するという。原発は安全性の確保が第一だ。

◆防災対策 

 増田氏 揺れがあった時に電源が落ちる感震ブレーカーを普及していく。帰宅困難者を収容するためホテルや民間ビルのロビーを開放する取り組みなどを進めることが必要。首都直下型地震は、自分の身は自分で守るという危機意識を持っていただける都の取り組みを丁寧に行っていく。

 宇都宮氏 都は大きな道路整備で延焼を防ぐことはやっているが、個人の家に対する耐震化や不燃化の助成金をやめている。都民の財産と命を守るために助成金を出す。感震ブレーカーの補助金も出す。東京湾には五千個のタンクがある。耐震化対策を徹底的にやるべきだ。

 小池氏 電柱は倒れることで消防車や自衛隊の車が通れない。無電柱化を訴えている。街が壊滅状態になった時はヘリコプターが有効。サイバーテロは見えないだけに本当に真剣に準備しておかなければ五輪・パラリンピックの安全性は得られない。

 鳥越氏 都市の構造、防災という点から改善していく。家屋構造から道路、湾岸問題と全部やる。意外に忘れられているのは個人の防災。日頃から個人の防災意識の心がけを都民に呼びかけたい。

◆五輪・パラリンピック

 増田氏 総額費用を早急に明らかにする。組織委員会と国、都でどう負担するか決めていかなければならない。都民目線に立って全体を精査し都民の負担を軽減する立場で話を進める。

 宇都宮氏 経費を最小限に抑えるべきだ。設備整備に既に使った二千四百億円があれば、八千人の待機児童がすぐ解消できる。無駄を省いて都民の生活を重視するために使う。二億円の裏金疑惑を徹底的に解明しないとダメだ。開催時期は十月にずらすべきだ。五輪とパラリンピックを同時開催ができないか。

 小池氏 コンパクトと言っていたのが巨大になり、アスリートファーストと言いながら、新国立競技場もアスリートが欲しいと言ったジムがない。見直しが必要ならば見直す。五輪は「たばこフリー(禁煙・分煙の義務化)」を進めていかなければいけない。

 鳥越氏 五輪は国際的に東京は輝かしい、美しい都であることをアピールする絶好の機会。国民、都民の税金を使うので、一定の縮減はしなければいけない。コンパクトでスモールな大会を目指すべきだ。

◆待機児童 

 宇都宮氏 解消のための予算措置をする。保育所をつくるのは区市町村に権限があるが、都は、都有地提供や、都が購入した土地を区市町村の保育所づくりに貸し出すなどの施策を行う必要がある。

 小池氏 保育士の待遇改善は喫緊の課題だ。ハコものは規制がありすぎる。安全性の確保は十分考えないといけないが、広さ制限も考慮すべきだ。保育施設と高齢者の施設を組み合わせた形で活用したい。

 鳥越氏 施設の問題、保育士などスタッフの問題がある。緊急性が叫ばれながら解決しないのは、莫大(ばくだい)な予算がかかるからだろう。都は比較的裕福な自治体。工面したらできるかもしれない。公共事業などで喫緊の問題でなければ、多少後回しにしてでも予算組み替えが必要だ。

 増田氏 保育所で働く人が所得が抑えられていて過重労働だ。土曜は利用のニーズが下がる。共同で開園することが特例で認められているので、もっと活用して保育士に休んでもらうことも必要だ。(保育所の)開所は、当事者と区、事業者と話し合うチームを都につくり、合意形成に努力することが必要だ。

◆個別質問 

 宇都宮氏 (出馬の意思は)基本的に変わらない。鳥越氏は政策は明確なものがなかった。鳥越氏を支える野党四党の政策協定があるのかも不透明だ。都知事選は政策論争中心になるべきだ。

 小池氏 (都議会との対立について)自民党都連がブラックボックスの中で決めていることに多くの都議も不満を抱いている。協調がベストだが、途中から言いなりに、言うことを聞かない知事にはしっぺ返しということが、混乱につながっている。

 鳥越氏 (国政ではなく都政を目指すのは)前知事らの問題で、都民が汗水流し、つらい、痛い思いで納めている税金をこんなに軽々しく使うのかと、非常に不思議だった。戦後初めて衆参両院で改憲ができる状況になった。「男なら何とかしろ」と自分に問いかけ、都政に旗を立てたいと思った。

 増田氏 (東京一極集中は)地方の持続可能性だけでなく、ひいては東京の持続可能性にも影響を与え、日本全体がまさに消滅しかねないという危機感を問題提起した。東京と地方が共存共栄できるアイデアを実行していく。

◆個別討論 

 増田氏 (小池氏に)都議会の冒頭解散は、停滞と混乱が継続する。

 小池氏 冒頭解散は大前提として(知事の)不信任をもらって、ということ。都連の一員になってから重要な会議には呼ばれないということがしばしばあり、後でそうなのと聞かされることがある。デュープロセス(手続き)が明確でないと何度も申し上げている。

 鳥越氏 (増田氏に)総務相の時に、都の財源を国に吸い上げて地方に交付したと記憶する。

 増田氏 当時、東京と地方の税源偏在、税の格差が広がっていた。臨時的緊急措置で、元に戻した。東京は五輪・パラリンピックもあるし、介護・子育ての財政需要が出る。都民のための税源を守ることが必要だ。

 小池氏 真っ先に手を挙げたが、いろいろあって増田さんに。増田さんはどうして私じゃなかったと考えるのか。

 増田氏 党側の事情は十分承知しているわけではない。口幅ったいが、私が出ると申し上げたのは、区市町村長との対話を積み上げ、課題山積の都政を円滑に遂行していこうと。(都議会)冒頭解散は議員職を奪う。小池氏は劇場型のようなことをやろうとしていると感じられる。

 宇都宮氏 二代続けて政治とカネの問題で任期途中で辞職した知事は、自民、公明両党が推薦した。

 小池氏 前知事は人気投票で決まり、最終的に都連の上の方で決められた。多くの議員もおかしいと思っていた。指摘は甘んじて受けなければいけないが、選考過程について問題が山積している。

 

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