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東京都知事選

託す 都民の思い

 14日告示された東京都知事選は21人が立候補し、街へと飛び出していった。新知事は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年まで都政を担うことになる。大きな変貌が予想される時期の首都の顔を誰にするのか。都政の課題でもある、子育て支援や障害者スポーツ、自然エネルギーの普及に取り組む3人の有権者に、一票を託す思いを聞いた。 

子育て中の母親たちと話をする「はなはな*みかん」の久保みどり代表=東京都台東区の「ぱんだカフェ」で

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◆子育て「課題は待機児童だけじゃない」

 「新しい知事には、幅広い分野に目を向けてもらって、さまざまな活動をしている人の声に耳を傾けてほしいですね」。子育て中のママを支援する団体「はなはな*みかん」代表の久保みどりさん(38)=葛飾区=は、台東区にある活動拠点の「ぱんだカフェ」で話した。

 三児の母で保育士の資格を持つ久保さんは五年前に「ママが気軽に訪れて楽しめる居場所をつくりたい」と同団体をつくった。孤立しがちな子育て中のママと、定年退職した男性らの交流の場を設ける活動に取り組む。

 八月からは、子どもが保育園に入れずに職場復帰を諦めた保育士が働ける環境をつくろうと、インターネット電話を使い、そうした保育士が子育ての相談に乗る「オンライン保育園」を始める。

 選挙戦では多くの候補が待機児童の解消を訴える。久保さんは「子育ての課題はそれだけじゃない。頑張っている民間の団体のアイデアを取り入れて、施策に生かしてもらえれば」と要望した。 (上田千秋)

パラリンピックへの関心の低さを心配する日本パラバレーボール協会の真野嘉久会長=東京都港区で

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◆パラリンピック「学校で競技導入検討を」

 障害者らのバレーボール(シッティングバレー)の普及に努める「日本パラバレーボール協会」会長の真野嘉久さん(51)=葛飾区=は、テレビで候補の演説を聞いた。でも、東京五輪・パラリンピックには触れずじまい。告示前の論戦も低調で「都民の関心が低いのでは」と懸念する。

 二〇二〇年東京大会まで四年。観客動員やメダル獲得数など、一過性の成果に注目が集まりがちだが「むしろ二〇年の後を見据え、障害者やパラ競技に対する理解がより広まる施策を考えてほしい。例えば、学校の授業でパラ競技を導入することを検討してはどうか」と新知事に望む。

 パラ競技団体は運営力が弱く、パラバレー協会も職員は真野さんを含め二人だけ。練習会場探しにも苦労するのが実情で、行政の支援が欠かせない。なのに、同じようなパラ関連のイベントが複数開かれるなど無駄な支出もある。

 真野さんは「新知事は現場の要望に耳を傾け、必要なところにお金を使うようにして」と注文した。 (中山高志)

「自然エネルギー普及を最重要項目にして」と話すNPO法人「元気力発電所」の新藤絹代理事長=東京都練馬区で

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◆エネルギー政策「原発からシフト不可欠」

 「都民が平和で安心して暮らしを続けるには、原発から自然エネルギーへのシフトが不可欠」

 太陽光パネルの普及を図るNPO法人「元気力発電所」理事長の新藤絹代さん(68)=練馬区=は、告示前日の候補者討論会の詳報を掲載した新聞を見て、どの候補が原発やエネルギーの問題に言及しているかチェックした。

 元気力発電所は三店のリサイクルショップを運営している。その利益で太陽光パネルを購入して、幼稚園や小学校などに寄付している。新藤さんによると、都内で自家発電に取り組む市民団体は増えているが、学校などの自治体施設への太陽光パネルの導入は、あまり進んでいないという。

 「福島の事故で、原発依存がどれだけ人々の普通の生活を壊してしまうかが分かった」と語る新藤さん。「次の都知事は、自治体施設での自然エネルギー普及を最重要項目にして、トップダウンでエネルギーの意識改革を進めてほしい」と求めた。 (望月衣塑子)

 

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