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東京都知事選

自公VS野党共闘第2幕

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 十四日告示された東京都知事選は、中央政党の支援態勢に違いが表れている。自民、公明の与党は、推薦する増田寛也氏の出陣式に幹部が駆けつけて全力支援を強調した。民進、共産、社民、生活の四党はそろって鳥越俊太郎氏を推薦したが、参院選に続いて市民との共闘を前面に出して選挙戦をスタートさせた。 (古田哲也)

 増田氏の出陣式では、自民党の谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長が一緒に街宣車に上がった。谷垣氏は「地に足の着いた主張をしているのは増田氏だけ」と支持を訴えた。自民党都連会長の石原伸晃経済再生担当相らもエールを送った。

 自公両党は今回、増田氏をいずれも党本部推薦とした。二〇一四年の前回、一二年の前々回は、都連・都本部の推薦や支持・支援止まりだったが、今回は党本部が支援に力を入れる。増田氏は日本のこころを大切にする党も推薦している。

 鳥越氏の出陣式では、野党四党の幹部は姿を見せなかった。参院選で野党共闘の原動力となった若者グループ「SEALDs(シールズ)」の中心メンバーの奥田愛基(あき)さんが「鳥越さんはみんなの声を聞いて都政をやってくれる」と演説した。四党から国会議員らが来て一緒に手を振ったが、あいさつはしなかった。

 一方、政党の支持がない小池百合子氏の出陣式であいさつした国会議員は一人。小池氏は「国政を離れ、一人の人間として、組織、しがらみを超えてまい進する」と訴えた。政党の影響を受けない候補になったことで増田、鳥越両氏との違いを際立たせようとしている。

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◆参院選比例から試算

 参院選では東京都の比例代表の得票数から試算すると、増田寛也氏を推薦した自民、公明の与党と日本のこころを大切にする党の三党はあわせて約二百九十五万票、鳥越俊太郎氏を推薦した野党四党は計約二百四十八万票となる。計算上は与党など三党が上回るが、小池百合子氏の出馬で自民党は事実上分裂したことから、激戦となりそうだ。

 東京都の参院選比例代表の各党得票数(いずれも四捨五入)は、自民が約二百十三万票、公明が約七十一万票、日本のこころは約十万票で、計約二百九十五万票だった。

 野党四党の得票は民進が約百二十三万票、共産は約八十八万票、社民は約十八万票、生活は約二十万票。四党で計約二百四十八万票と、与党票を約四十六万票下回っている。

 小池氏はキャスターを経て一九九二年の参院選で初当選。翌九三年に衆院に転じ、八期連続当選を果たしたベテラン。閣僚も歴任して知名度も高い。参院選で与党に投じられた票は、分散する可能性がある。

 野党四党は、ジャーナリストの鳥越氏をそろって推薦した。前回、前々回知事選で共産、社民から推薦を受けて立候補・落選した元日弁連会長の宇都宮健児氏が一時は出馬の意向を示し、野党四党の票の分散が懸念されていたが、告示前日の十三日に立候補を取りやめた。

 自民票が割れ、参院選の四党の得票がそのまま鳥越氏に投じられると仮定すると、鳥越、増田、小池三氏らの争いの行方は混沌(こんとん)としてくる。 (清水俊介)

 

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