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![]() 次の知事に望む 有権者の声
都知事選が告示された14日、候補者たちは都内各地の街角に立ち、支援を呼び掛けた。都内の有権者は1127万人。候補者をどんな視線で見つめ、何を期待するのか。都内の3カ所で聞いた。 ◆お金の心配せず大学に・原宿若者文化を発信してきた原宿。雑貨店や飲食店が立ち並ぶ目抜き通りの竹下通りでは、平日にもかかわらず、多くの若者や外国人観光客でにぎわっていた。 セールの服を買いに来たという狛江市に住む大学三年の男性(21)は「自分は家が裕福じゃないので、奨学金をもらって大学に通っている。卒業後のことを考えると不安で…。服は必ず安いセール品」と苦笑する。「政治家にはお金のことを心配せずに大学に通えるようにしてほしいですね」と注文を付けた。 恋人とかき氷を食べに来たという大田区のフリーターの男性(30)は、短期の派遣労働で食いつないでいるという。「正社員と同じような仕事をしているのに、賃金にはものすごい差がある。非正規が長いと思うように正社員にもなれないし、格差を何とかしてほしいですね」と話した。 (神野光伸) ◆過疎対策 働く場を・檜原面積の93%が山林で、過疎化と高齢化が進む檜原村では、村内の商店も約十店まで減少。村民の買い物を支援するため、村は第三セクターが運営するミニスーパー「かあべえ屋」を十三日にオープンさせた。都知事選が告示された十四日昼ごろ、店の駐車場には車が次々と止まり、買い物客でにぎわった。 「村の状況を大きく改善してくれる候補がいる訳でなく、誰を選べばいいのか分からない」と話すのは、小学生を育てる母親(45)。「過疎化で近所に友だちもいない。雇用を創出し、高卒の子でも働けるようにしてほしい」と求める。 会社員の女性(62)は「買い物の不便さを解消するのは大事。自然が多く、来た人は喜ぶ。もっと便利になって人が集まれば、活性化するはず。都は先頭に立つ村を支援してほしい」と期待。若い世代の雇用の受け皿づくりや、空き家対策への取り組みも求めた。 (村松権主麿) ◆老後の不安なくして・巣鴨縁日でにぎわう昼時の巣鴨・地蔵通り商店街。 墓参りの帰りにウナギを買って帰宅途中という江東区の主婦(73)は「今後の生活でどれくらいお金がかかるかが不安です」と話し、リタイア後の社会保障の充実を求めた。 夫と二人で年間三百万〜四百万円の年金で暮らす。「五輪が来るのは喜ばしいことだけど、開催費の使途が私たちには不透明に感じる。新知事にはそこに切り込んでもらいたい」 「とげぬき地蔵尊」のある高岩寺(こうがんじ)の木陰で休んでいた男性(65)は、生活保護を受けながら都内の公園で寝泊まりしているという。公園清掃の仕事に就いていたが、体調を崩し静養中だ。 年金を受けるためにアパートを探しているが、入居のための一時金の支払いもままならない。「警備会社に応募したが、身元が判然としないと断られた。生活保護から毎月五百円ずつためようかな」。男性は都営の無償住宅の拡充を求めた。 (皆川剛) ◆有権者数過去最高1127万4080人都選挙管理委員会は、十三日現在の有権者数が千百二十七万四千八十人と二〇一四年の前回知事選を四十五万三千人上回り、過去最高になったと発表した。男性は五百五十三万七千八十九人、女性は五百七十三万六千九百九十一人。
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