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東京都知事選

候補者ルポ(下)

◆自民分裂 孤立選ぶ 小池百合子さん(64)無新

街頭演説に訪れた人と握手する小池百合子さん=千代田区のJR秋葉原駅前で

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 ガタガタときしるジェットコースターの音に少し遅れて、悲鳴と歓声が路上に届く。「スリル満点だけど、あの遊びは絶対安心な中でスリルを味わっているだけですよね」。拡声器を通した言葉は多少の自負心をのぞかせて、こう続く。

 「私には安全ネットもパラシュートもありません」

 三連休の中日、十七日の午前。遊戯施設の入る後楽園ラクーア(文京区)前。自民党への推薦願いを取り下げ、都連との対決姿勢を強める元防衛相の小池百合子さん(64)が、レジャー客になぞらえて自公推薦のライバル候補を皮肉った。

 小池さんは、「孤立」を強調する戦略を選んだ。「待機児童は規制緩和を行い、百五十億円で解消できる」「少子化解消のために長時間労働をなくす。育児休業もサポートする」。こうした都民に関心の高い政策を、自民都連批判に結びつけて語る。

 「政策は伏魔殿の中で、政党のボスが決めるのではない。都民一人一人が決めるんです」。ふくらむ五輪の予算を精査し福祉に回すのは、「組織から何票何票と与えられて足し算するだけの候補」にはできないとぶち上げ、拍手を浴びた。

 午後は秋葉原へ。「アニメ産業を成長させて世界に広げる」。「魔法使いユリー」としてコスプレ経験もあり、サブカルチャーへの理解をアピールする小池さんの横に、汗をかくスーツ姿の男性たちがいた。

 彼らこそ分裂選挙の象徴。「非推薦候補を応援すれば処分する」との自民都連の文書にもかかわらず、小池さんの支援を決めた地元豊島・練馬の区議たちだ。

 集まったのは両区の自公区議五十二人のうち七人。ある区議は「足取りは重いですよ。でも、小泉(純一郎元首相)さんが『自民党をぶっ壊す』と宣言した郵政選挙と同じにおいがする。あの時と同じ戦いが始まったんだな」と感慨深げだ。

 浅草・雷門前では滞留した人が交通の妨げになり、演説を予定より十分短縮した。「すごい反応です」。もみくちゃにされながら仲見世通りを歩く小池さんを追いながら、区議は手応えを感じているようだった。

 (皆川剛、掲載は届け出順)

 

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