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東京都知事選

政策 もっと議論を 主要3候補 準備不足?

 三十一日投開票の東京都知事選は、主要三候補の舌戦が激しさを増している。政策は出そろったが、識者は「いずれも準備不足のため、議論が深まらない」と指摘。街頭演説などでは互いの批判も目立ってきた。

 「がん検診100%」。重要政策として、検診率の向上を掲げるジャーナリストの鳥越俊太郎さん(76)=民進、共産、社民、生活推薦。街頭では自身の闘病生活に触れ、「都知事として旗振り役を務めたい」と訴える。

 民進幹部は「他の候補より共感できる内容」と自負するが、他陣営は冷ややかな視線を向ける。「都だけ100%にしても地方との格差が生まれるだけ」(自民党都議)。元総務相の増田寛也(ひろや)さん(64)=自民、公明、こころ推薦=も、テレビ番組で「検診は強制できるものではなく、区市町村の仕事であり、都の仕事ではない」と疑問を示す。

 一方、増田さんは「実務能力を生かし、都政の混乱を収めたい」と主張。これに対し、元防衛相の小池百合子さん(64)は増田さんが旧建設省の官僚だったことから「都庁には十六万人の優秀な役人がいる。知事が霞が関の天下りの受け皿になってはいけない」と批判を展開した。

 鳥越さんも、増田さんが総務相時代、法人事業税の一部国税化で、都の財源が減ったことを問題視。「都民が汗水垂らして税金を払っているのに、このことはほとんど知られていない」と述べた。

 小池さんは自民党都連の閉鎖性を批判し、都政の刷新を目指す考えだ。ただ、不信任案が可決されることを前提に「都議会冒頭解散」にまで言及したことに、増田さんは「ただでさえ遅れている課題が、さらに遅れる」と苦言を呈する。

 また、小池さんが街頭で「勝てるからといって病み上がりの人を連れてくればいいということではない」と発言したことに、鳥越さんが猛反発。テレビ番組で「がんサバイバーへの差別、偏見だ」と激しく責め立てる場面もあった。

 慶応大の曽根泰教教授(政治学)は「それぞれの政策に個性がない。山積した都政の問題に終止符を打つような考えを示し、都民にぶつけてほしい」と話した。

 

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