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東京都知事選

<有権者発>政治資金 難しい虚偽立証

 政治資金規正法で、政治資金を私的活動に使うことは認められていないのではないか。家族旅行などは私的活動なのに、東京都知事を辞職した舛添要一氏の政治団体が、政治資金収支報告書に政治活動に使ったと記載したのは、規正法の虚偽記入罪に当たるのでは? =埼玉県東松山市のコンサルタント・丸岡信安さん(69)

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 政治活動の名目があれば事実上、政治資金は何にでも使えます。政治資金規正法では、政治資金の株式運用や資金管理団体による不動産取得は禁止されていますが、憲法が保障する政治活動の自由を尊重する観点から、それ以外は使途を制限する規定はありません。

 規正法の目的は、政治団体や公職の候補者の政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにすることで、その是非の判断はあくまでも国民に委ねられているのです。

 舛添氏は家族旅行や食事、漫画への支出などが問題視されました。元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士は「政治資金収支報告書に書くべきことを書かない不記載や虚偽記入は規正法違反になるが、『家族との旅行費』『私的な懇談費』などと正直に書けば罪には問われない」と話します。

 舛添氏の収支報告書では宿泊費は「会議費」となっていました。舛添氏は五月、相手を「事務所関係者ら」と説明し、その後弁護士の調査には「出版会社社長」と変えました。刑事告発を受けた東京地検の捜査の結果、本当に会議をしていれば、それ以上の追及は難しくなります。

 実際は会議が行われていなかったなら、虚偽記入の疑いが生じます。ただ、犯罪として立証するにはさまざまな詰めが必要です。郷原氏は「誰がどのような経緯で収支報告書に記載したのかを解明する必要がある。虚偽と認識していた舛添氏の指示で会計責任者が記載したということなら、虚偽記入罪が成立する可能性はある」としています。

 

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