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東京都知事選

<明日を託せるのは誰> 私たちの願い

 千三百万人が暮らす東京都の知事選は三十一日、投開票を迎える。知事が三代続けて任期途中で辞職し、停滞している都政。信頼を回復し、新たにかじを取るのは誰になるのか。有権者はそれぞれに「未来の東京」を思い描き、明日の首都を託すリーダーを決めるため、投票に行く。 (小川慎一、木原育子、加藤健太)

 「首都直下型地震に本当に耐えられるの」と不安を抱くのは新宿区の会社員、小俣さち子さん(41)。二〇一一年の東日本大震災では新宿の勤務先のビルにひびが入った。「高層ビルの周辺に住んでいるので引っ越すことも考えている。災害に強い東京にしてほしい」

 世田谷区の主婦、大竹麻衣さん(37)は勤め先で育休取得が難しく、出産を機に退職した。「世田谷は待機児童の数が一番多い。無認可の保育所もあるけど給料がなくなってしまうほど料金が高い」と嘆く。「子どもがいてもちゃんと働ける社会を東京からつくって」

 港区の会社員、伊藤雄大さん(25)は、都知事が「政治とカネ」で辞任するたびに「何て情けない東京なんだ」とため息をついてきた。今回は「クリーンさ」で選ぶと決めている。「健全な政治で、家族で暮らしやすい東京を取り戻してほしい」

 世田谷区の自営業、栗林彩さん(30)は高額な費用がかかる不妊治療について「治療の種類にかかわらず公的医療保険を適用してほしい」と話す。「精神的な不安があるのに経済的負担も重なると苦しい。都がリーダーシップを発揮して国を動かして」と求めた。

 江戸川区の舞踊家、木村允(まこと)さん(32)と睦美さん(47)夫妻は「都心の木は大きくなりすぎると切られ、規格化された街に当て込まれる。うそを見極め本質を捉えられる街に」と話す。「世界が間違った方向に行かないよう東京から流れを作る。選挙は重要な一歩だ」

 武蔵野市の主婦、平谷恵子さん(64)は築地市場の移転に伴う問題点を都に訴える活動をしている。「都民の声を聞かずに都政を進めた象徴こそ築地問題」と言う。「築地はもちろん、全政策について、都政は都民の声をしっかりと聞いて進めるべきだ」と切実だ。

 世田谷区の会社員、中西匠さん(29)は「若者が夢を持てる社会に」と話し、会社員の副業緩和や起業しやすい制度の導入を提案する。「僕らの世代は『どうせ年金はもらえないだろう』と、漠然とした不安がある。働く意欲があるうちに稼いでおきたい」と話す。

 一人暮らしの高齢者が住民の三割を占める都営住宅。新宿区の本庄有由(ありよし)さん(78)は高齢者の孤独死を防ぐ活動をしてきたが、病気で続けられなくなった。「都内には老人ホームなどの施設に入れない待機老人が四万人以上いる。問題は待機児童だけではない」

 世田谷区の会社員、川村千紘(ちひろ)さん(29)は公衆無線LAN「Wi−Fi(ワイファイ)」サービスについて「いろいろな電波が飛んでいるが事業者ごとに登録を求められて面倒」と不満がる。「都が一元化してはどうか。その方が外国人観光客にも親切」と話した。

 

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