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都議選2017

<知らない議員 8都県チェック>(1)公用車 公務なら行き先問わず

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 東京都議選は六月二十三日の告示まで一カ月を切った。都議会における小池百合子都知事を支持する勢力と、自民党の戦いに注目が集まるが、都議の実態は意外に知られていない。首都圏七県の議員と併せてチェックした。

 東京都議会の議事堂地下駐車場には、黒塗りの車がずらりと並ぶ。いずれも都議用の公用車で、全部そろうと二十二台。議長、副議長の専用車は多くの議会にあるが、都議会では他の議員用の車もある。

 専用車は、辞退した共産を除いて議席数の多い自民、公明、民進系会派の幹事長にも各一台を充当。さらに、三会派には所属議員数に応じて配分される優先車計七台もある。残る十台は、どの議員も使える。

 本紙が情報公開請求で入手した運転日誌によると、ある都議は昨年十二月二十日午後六時二十分に都議会を出て、港区や千代田区などを巡り、午後十一時前に下車した。本人に使用理由を聞くと「いろんな会合を回っていた」。

 こう返ってくるのも、議会で決めた公用車の使用基準に「公務を遂行するため」とある以外明確でないから。都議が行き先を申請したり、チェックされたりすることはない。「お手盛り」と批判されるゆえんである。

 都議会局によると、公用車の費用は二〇一五年度で約二億円。内訳は運転手(都職員)十五人の人件費約一億一千万円、車リース代二千三百万円、ガソリン・高速代千五百万円などだった。会派別の一人当たりの年間使用日数(一五年度)は自民五十六日、公明四十日、旧民主(現民進系)二十八日、旧維新二日、旧かがやけTokyo(現・都民ファーストの会)〇・三日となっている。

 首都圏一都七県の議会で比べると、千葉県議会は議長車と副議長車しかないが、都議会は保有数で群を抜き、車一台当たりの議員数(充足率)も最も潤沢だ=グラフ参照。だが、保有数は都条例でも規定されておらず、根拠に乏しい。全国市民オンブズマン連絡会議の新海聡事務局長は「こんなに必要なのか、検証しなくては」と話す。

 都議会では本会議などへの出席時に交通費などとして一日に一万〜一万二千円を払う費用弁償という制度があったが、公用車で登退庁した場合は対象外だった。費用弁償は「議員が無報酬の時代の名残」などと指摘され、二月の都議会で四月からの廃止が決まった。だが、公用車については見直されることなく、そのままだ。 (榊原智康)

 

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