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<密着取材!知事の都議選> (下)緑のハチマキ 勝利へ加速
都議選の告示日以降、記者(36)は小池百合子知事を追い掛けた。終盤戦は−。 ■英語6月29日朝 「Hi Good Day(こんにちは、良い日ね)」。取材中の記者に、小池百合子知事が話し掛けてきた。しかも、得意の英語だ。 加計(かけ)学園を巡る問題に続き、二十七日夜には自民候補の応援演説に入った稲田朋美防衛相が「自衛隊としてもお願いしたい」などと支持を呼び掛け、政治的中立性が問われて自民への批判が日に日に強まっていた。各メディアの世論調査でも、自身が率いた都民ファーストの会の好調さが伝えられていた。 くしくも、ちょうど一年前の二十九日は、記者会見で「崖から飛び降りる」と述べ、自民の推薦が得られないまま知事選に立候補すると表明した日。全てはあの日から始まった。小池氏は記者に「今は『都民』の(立候補者)五十人が崖から飛び降りている。軟着陸させることで頭がいっぱい」と語った。 知事選をほうふつとさせる緑のハチマキも解禁。勝利に向けてギアチェンジした。 ■反応同日午後2時40分 小池氏は聴衆の顔が見えているのか。大勢の人が詰めかけた武蔵野市のJR武蔵境駅前で、ある実験を試みた。 新聞社の腕章を外し、演説場所と道路を隔てた人混みの中から小池氏に向かって手を振ってみた。二回振っても反応なし。演説の終わりがけにもう一度振ってみると、手を振り返してきた。隣にいた緑色の服を着た女性(63)が「この反応が街頭演説を聞く醍醐味(だいごみ)。知事と都民、議会と都民。双方向の意思疎通は欠かせないと思うの」と話し掛けてきた。小池氏のファンという女性の言葉に、地方自治の根源に触れた気がした。 ■視界不良7月1日午後2時半 予定通りなら小池氏はこの日夜、八丈島で最後の演説をし、私は天然温泉で九日間の選挙戦取材の疲れを癒やしているはずだった。自民の八丈町議に電話をすると「浮動票が流れないように、『台風』の上陸に備えねばならん」と慌てていた。台風とはもちろん、小池氏のことだ。 ところが、羽田空港からの飛行機は「視界不良」のため欠航。小池氏の最後の演説は、島は島でも豊島(区)の池袋駅前へ変更になった。 「都民」は投開票日の二日、島部選挙区では敗れたものの、候補者五十人のうち四十九人を当選させた(追加公認を除く)。「古い都議会を新しく」と訴えた「都民」。今後、どんな新しい都議会になるのか。「視界不良」だけはごめんだ。 (木原育子) PR情報
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