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都議選2017

<密着取材!知事の都議選> (上)脇道知る運転手、SNS…

腰痛をこらえながら、腰を曲げて投票のお願いをする小池知事(車上の手前(左))=先月27日、JR立川駅前で

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 「選挙期間中、知事に張り付いてもらうから」。都庁担当のキャップ(48)からそう言われ、都議選の告示日(六月二十三日)から投開票日前日(七月一日)まで小池百合子知事に密着した。小池氏はどう戦ったのか。知事担当の記者(36)が二回にわたってリポートする。 (木原育子)

■追跡

 6月24日午後8時 小池氏は目黒区の中目黒駅で、自身が代表を務めた都民ファーストの会が推薦した公明候補の応援演説を終えた。この日の演説は十二回。ついて回った私は化粧が流れ落ち、もはやぐちゃぐちゃだったが、演説の後に小池氏が誰と会っているのか気になる。さらに追いかけてみようと思った。

 小池氏が政治活動に使うのはワゴン車。運転手は数年前から仕える男性秘書だ。選挙期間中、計百一回の街頭演説を滞りなく終えることができた影の立役者といえる。カーナビに出てこないような脇道も知り尽くしているとみられ、ハイヤーで追いかけた記者はすぐに見失ってしまった。

 「私は土曜の夜に一体、何をしているのか」と思いつつ、居酒屋でビールを一気に飲み干すと気が晴れた。

■空中戦

 26日午後4時40分 板橋区の路上に止めた選挙カーの上に乗って、小池氏にスマホを向ける若い男性がいた。聴衆の中から、この男性に「もっと右、もっと寄れ」と叫ぶジーパン姿の中年男性も。二人は何者か。

 「何してるんですか」。中年男性に聞いてみると、都内でメディア系ベンチャー企業を営む社長だった。この人こそ、小池流SNS(会員制交流サイト)選挙の仕掛け人だ。小池氏の人柄にほれ、昨年の知事選から関わっているという。

 社員の若い男性が撮影した写真と動画は小池陣営に提供され、次の演説会場に着くまでに小池氏自身がえりすぐる。板橋での写真は午後五時十五分にネットに流れ、拡散していった。スマホで撮影するのは早く投稿するためだ。

 「政治が変わる現場に居合わすって、ワクワクしませんか」。社長はそう言って笑顔を向けてきた。

■腰痛

 27日午前9時半 「おや?」。この日一カ所目の演説会場となる町田市の町田駅前に着くと、小池氏が珍しくワゴン車の最後部に座っていた。側近に聞くと「腰が痛いらしい」。腰痛は初めてのようだという。

 思えば、小池氏は私の母と同年代の六十四歳。体をこわすこともあるだろう。でも選挙活動は緩めず、この日は多摩地区を中心に十三カ所を回った。公明以外の推薦候補への応援も始め、後半に向けて勢いを増していった。

 

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