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都議選2017

<知らない議員 8都県チェック>(4)議員報酬 妥当な額見据え議論を

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 月額百二万円。ボーナスも含めた年額は千七百十五万円。

 これは、二〇一六年度の東京都議会の一般議員に支払われた報酬だ。議長や委員会委員長などの役職に就くと、さらに高くなる。

 原則論では、「報酬」は議員など非常勤職員が実際に行った役務への対価。生活費の側面が強い常勤職員の「給与」とは性格が違う。労働日数に応じ、一日三万円の報酬を支払う福島県矢祭町議会の例もあるが、ほとんどの議会で月額支給だ。

 都議の報酬は四十七都道府県で最も高く、それが長年続いてきた。しかし、昨年、状況が変わった。

 小池百合子都知事が就任早々、知事給与を半減の年千四百四十八万円にしたのが発端。これまで上回っていた都議の報酬額を下回る逆転現象が起き、都議会でも報酬の削減を議論せざるを得なくなった。

 知事給与を下回るよう調整した結果、今年から二割減の千三百七十二万円に下げることになった。月にして約二十万円の減額に、あるベテラン都議は「事務所の家賃や事務員に払う給料もある。とても厳しいのが実情」と本音を漏らす。

 首都圏の八都県では、茨城の千三百三十七万円に次ぐ低さだが、実は、今回の減額は一年間限定の特例条例に基づく措置。期間を延長しなければ、自動的に元の額に戻る仕組みだ。

 いったんは大幅に減額したものの、再び元に戻るケースは実際にある。

 「市民の代表の議員は、報酬も市民並みの年八百万円に」。名古屋市の河村たかし市長はこう考え、就任後の二〇一一年、自身が代表を務める地域政党「減税日本」の市議たちと協力し、市議報酬を半減させた。ところが、一五年の市議選で減税日本が大敗し、議席を減らすと、半減に不満を感じていた会派が中心となり、千四百五十五万円とほぼ元の額に戻した。

 中央大の佐々木信夫教授(行政学)は都議報酬の減額に「いずれ揺り戻しがくるだろう。単に下げただけでは、都民は高いのか低いのか分からない。議会は都議の報酬がいくらであるべきかという根源的な議論をするべきだ」と指摘している。 (石井紀代美)

 

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