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都議選2017

<知らない議員 8都県チェック>(5)肖像画 政党間の「けん制」で廃止

 東京都議会の議事堂六階にある委員会室に、議員職を長年務めた元都議の肖像画が飾られている。今年一月まで十枚あったが、二月に二枚が取り外された。「ご本人やご家族から希望があったためです」。穴の開いた木壁を背に、都議会の担当者が話す。

 三十年以上在職した議員を対象に、「肖像画を議事堂内に掲額する」と内規で決めたのは一九八四年。以来、縦約五十五センチ、横約四十五センチの油彩を画家に依頼し、一枚当たり数十万円をかけて作成されてきた。

 二月に外されたのは、いずれも公明党の藤井富雄氏(二〇〇五年引退)と萩谷勝彦氏(〇一年引退)の肖像画。公明は一月、この内規の廃止を提案し、各会派の合意を取り付けた。幹部は「都民のおかげで議員活動ができているのに、表彰されるのは違うんじゃないかと従来主張してきた。これも党が掲げる『身を切る改革』の一環」と語る。

 議員の名誉の象徴である肖像画を公費で作成する歴史は古く、国会では戦前から、各地方議会でも遅くとも戦後すぐに始まった。廃止の議論は国会が早く、一九九七年に当時厚生相だった小泉純一郎元首相が初めて辞退。在職二十五年以上の議員に肖像画の揮毫(きごう)料として公費で百万円が支給される制度が「過度な特権だ」と批判されて同調者が続き、〇二年に衆参両院で廃止された。

 首都圏では四つの県議会が今も公費で肖像画を作る。作成料は二十万〜八十万円程度。いずれも「廃止の議論はない」という。都議会公明は昨年、議員報酬を二割削減する改革案を巡って自民との対立が決定的になり、「改革」を旗印に掲げる小池百合子知事と連携する姿勢を鮮明にした。都議会での自公の協力態勢は三十五年に及び、国政よりも歴史が長かった。

 委員会室に残る八枚の肖像画のうち、六人は自民の元都議。自民の現職都議からは「(肖像画外しは)単なるパフォーマンスだ」との声も聞かれる。取り外された二人の肖像画は都議会の倉庫で保管されている。 (皆川剛)

 =おわり

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