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都議選2017

自民候補 逆風を懸念 加計問題、「共謀罪」強行…

聴衆に向かって訴える党幹部(左)=18日、東京都内で

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 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題や、「共謀罪」法案の採決強行などをめぐり、二十三日の告示まで一週間を切った東京都議選に臨む自民党の立候補予定者から、不満が漏れている。国政の影響で大敗した過去があるだけに、逆風を懸念。一方で野党側は攻勢を強めている。 (都議選取材班)

 「難癖をつけられているという思い。行政をゆがめたことはまったくない」

 告示前最後の日曜日の十八日、八王子市内で候補予定者の応援に入った萩生田光一官房副長官は力説した。加計学園の学部新設に有利となるような指示をした、と批判の矢面に立った一人だが、この日も疑惑を否定した。

 安倍政権は国会の会期延長を避けて一連の問題の沈静化を狙うが、候補予定者らは世論の反発への心配が尽きない。立候補を予定している現職は「加計学園問題を有権者に聞かれて困った」と嘆き、ある新人は「安倍首相の『おごり』を批判する人が急増してきた。首相と握手している写真で選挙ビラをつくったが配るかどうか迷っている」と打ち明けた。「大逆風。街頭で掛けられる『頑張れよ』の声が減った」と漏らす現職も。

 都民ファーストの会が勢いづく中、候補予定者らが恐れているのは、自民党が苦杯をなめた過去の都議選の再現だ。前々回二〇〇九年は民主党への政権交代ムードのあおりを受けて過去最低の三十八議席に。一九八九年にもリクルート事件や消費税導入の影響で二十減の四十三議席に落ち込んだ。

 別の現職は「共謀罪」法案の採決強行に、「支持者から乱暴すぎる、とお叱りもある。個人的にはもうちょっと議論するべきだと思う」と疑問を呈した。

 これに対し、都議選で埋没を心配していた民進党は、蓮舫代表が十七日の足立区内の演説で「自分たちに都合が悪いものにふたをする姿勢は、都議会自民党にも通じる。政官業の癒着は都政も同じ」と主張。新人の候補予定者は「握手が多くなった」と上向きムードを歓迎する。

 同じ日に共産党の志位和夫委員長は東村山市内で「自公の暴挙をしっかり覚えておいて、審判を下そう。都議選は最初の審判の場になる」と訴えた。

 一方、都民ファーストの会と協力し、自民党と連立与党を組む国政とのねじれが生じている公明党。山口那津男代表は十八日、荒川区内で加計学園問題などには触れず「小池知事の下で東京改革を進めることの是非を問うものだ」と都政に絞って訴えた。ある新人は「安倍政権にはきちっと説明してほしいが、都政は都政」としている。

◆都民ファースト 目立つ言及なく

 野党各党が加計学園問題などで自民党批判を強める中、小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」からは目立った声は上がっていない。十八日の東京都府中市や板橋、豊島区内などの街頭演説でも小池氏は触れなかった。

 もともと小池氏は自民党衆院議員。「自民党本部と都連は別」と都連とは対峙(たいじ)しても、自民党そのものへの批判は避けてきた。加計学園問題への安倍政権の対応にも、十六日の会見では「基本的には情報は出す。それが結果的に信頼されるのではないだろうか、と考えている」「(親しい人とも)リーダーとして距離感は大切かなと思う」と述べるにとどまった。

 自民党に離党届を提出し、小池氏と行動を共にする若狭勝衆院議員は週末の街頭演説で「安倍一強で問題が次々噴出している」と批判したが、都民ファーストの見解ではない。小池氏周辺は「(対自民の)カードの一つ」と含みを持たせるが、ある新人は「今はノーコメント」で通している。

 

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