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都議選2017

平和祈念館計画で市民団体がアンケート 自・民・公が初の回答

「建設に向けて世論を高めたい」と語る柴田桂馬さん=同北区で

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 東京空襲の資料を展示して後世に伝える「東京都平和祈念館(仮称)」建設計画が、都議会の紛糾などで二十年近くたなざらしにされており、建設を訴えてきた空襲経験者らの団体は、都議選(二十三日告示)に向けて政党アンケートを実施した。前回選時と比べて回答に応じた政党が増える一方で未回答の党も。空襲経験者の高齢化が進み焦燥感が強まる中、団体は悲願実現に向けてさらに働き掛けを強める。 (柚木まり)

 実施したのは同館の「建設をすすめる会」で、二〇一三年の前回選に続き二回目。都議選に候補擁立予定の八党のうち六党が回答し、前回の四党を上回った。公明、共産、東京・生活者ネットワーク、社民は「賛成」と回答。「その他」とした自民は「展示内容など議論が不十分な点をさらに検討し、都議会の合意の上で実施すべきだ」とした。民進も「その他」とした上で「戦争に関する資料や戦争遺跡の保存と展示、公開の場は必要」と答えた。都民ファーストの会と日本維新の会は未回答。

 祈念館建設を巡っては、一九九二年から有識者や都議会各会派による議論が始まり、九八、九九年には都が都議会に建設予算案を提出した。しかし、議会は展示内容や歴史認識を巡って紛糾。建設予算案は可決されたが「都議会の合意を得た上で実施する」という付帯決議などにより執行されず、計画凍結が十八年続いている。

「平和祈念館」建設実現に意欲をみせる早乙女勝元さん=東京都足立区で

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 都は九七年から、祈念館での展示を前提に、都民から防空ずきんや焼け焦げた万年筆など、資料約五千点の寄贈を受けた。しかし、計画凍結により都庭園美術館(港区)の倉庫に保管されたまま宙に浮いている。

 自民、民進、公明から初めて回答があったことについて「すすめる会」会員は「前回よりも私たちの思いに応えてくれた」と前向きに受け止める。一方、小池百合子都知事が代表を務める都民ファーストが回答しなかったことには「都知事と直結している政党として回答してほしかった」と残念がる声も出た。世話人の柴田桂馬さん(87)は「回答通りに動いてくれるのか、都議会の動きを注視していきたい」と話す。

 民間施設「東京大空襲・戦災資料センター」を設立した作家の早乙女勝元さん(85)は「回答した政党のうち、動きだす必要がないと答えた党はゼロで、扉が開いたように一歩前進したと思いたい。空襲体験者は高齢で時間がなく、実現に向け一押しも二押しもしなければ」と意欲を語る。

 

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