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都議選2017

どんな東京にしますか? 小池都政に初の審判

 東京都議選(定数一二七)は二十三日告示され、午後一時二十分現在で四十二選挙区に二百五十八人が立候補を届け出た。七月二日の投開票に向け、九日間の選挙戦が始まった。昨年七月に「東京大改革」を掲げて初当選した小池百合子知事の支持勢力が、過半数の六十四議席を獲得できるかどうかが焦点だ。

 小池知事の支持勢力は、自身が代表を務める都民ファーストの会、公明、東京・生活者ネットワークと、都民ファーストが推薦した無所属の候補者。候補者数は前回二〇一三年の二百五十三人を上回った。女性の候補者も前回の五十三人から今回は六十五人となり、過去最多を更新した。

 党首らは午前、激戦区を中心に演説を行った。

 小池知事は渋谷センター街で自民を意識して「古い議会を新しくするチャンス」と強調。都民ファーストは、小池知事による豊洲と築地の市場「併存」方針を受け、築地のブランド力を守り、豊洲を物流拠点として活用すると主張する。

 自民の下村博文幹事長代行は築地で、小池知事の「併存」方針を「実際どうなのかよく分からない」と批判。都民ファーストとの対決姿勢を鮮明にし、豊洲への早期移転や五輪準備の加速を訴える。

 公明の山口那津男代表は目黒駅前で「小池知事と協力し、東京改革を進めていく」と述べた。豊洲市場で地下水の安全対策を行い、移転の実行を掲げる。七回連続の全員当選を目指す。

 共産の志位和夫委員長は新宿駅前で「自民・公明対共産こそが本当の対決軸」と主張。豊洲市場への移転中止と築地市場の再整備や、国政を意識して改憲反対も訴える。

 民進の蓮舫代表は中野駅前で「問われているのは議会の力」と、都政へのチェック機能が大切と主張した。市場問題では、豊洲市場の地下水浄化など追加対策の早期実施を掲げる。

 ネットの西崎光子共同代表は世田谷区で「自民が支配してきた都議会を変えるチャンス」と述べ、市場移転の白紙撤回を含む見直しを訴える。日本維新の会の松井一郎代表は大田区で「中身が見えない」と小池知事を批判し、早期移転を掲げる。社民の吉田忠智党首は世田谷区で「安倍政権が問われる選挙でもある」と述べ、移転の白紙撤回を主張。立候補の届け出は午後五時に締め切られる。

◆「加計」「共謀罪」 政治不信の中

 今回の都議選は主なポイントが三つある。一つは小池百合子知事の支持勢力で過半数を獲得するかどうか。獲得すれば、小池氏が掲げる「東京大改革」が勢いをもって進むし、獲得できなければ失速する。政策や手法の是非は、就任から十一カ月間の都政運営が判断材料になる。

 二つ目は市場の移転問題だ。小池知事は築地から豊洲に市場を移した上で、築地にも市場機能を持たせる「併存」方針を打ち出した。だが、築地をどう再開発するのか、費用はどう捻出するのか。具体策が明らかでない方針に、どんな審判が下るのか。

 三つ目は加計(かけ)学園を巡る問題や「共謀罪」法案の採決強行など、国政での政府・与党の対応がどう影響するか。都議選の結果が、各党幹部の責任問題として国政に跳ね返ることもある。ほかにも、女性都議の比率が今の20%から変わるのかも注目される。

 新しく選ばれる都議は、五輪・パラリンピックの開催から一年後に任期満了を迎える。祭典を経て高齢化はさらに進み、東京の人口は二〇二五年をピークに減り始める。備えが本格的に必要な時代の入り口にいる。

 小池氏は今月初めの記者会見で、都議選の勝敗ラインを問われ「注目しているのがフランスの総選挙」と語った。十八日の総選挙では、大統領に初当選したマクロン氏の新党が、既存政治に不満を持つ有権者の支持を得て圧勝した。東京も続くのか。私たちの一票は、重い意味を持つ。 (森川清志)

 

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