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都議選2017

都議選の女性候補 過去最多65人 選挙の光景に変化は?

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 東京都議選(七月二日投開票)は二十五日、唯一の選挙サンデーを迎えた。今回の選挙の特徴の一つは女性の立候補者数の多さ。過去最多の六十五人に達し、全候補者の二割超を占める。政治の世界での女性進出がなかなか進まぬ中、今回、選挙の光景は変わったのか。立候補者の半数の六人が女性となった杉並区選挙区などを歩いた。(柚木まり、石原真樹)

 「女性候補の多さは、生活に根ざした主張を各党が届けようとしているのだと思う」。二十五日夕、雨上がりの肌寒さの中、JR荻窪駅前で演説に耳を傾けていた杉並区の会社員の女性(55)は話した。杉並は都内有数の住宅街。午前にJR高円寺駅前で演説を聴いていた子育て中の主婦(48)も「女性の方が子育て支援から高齢者対策まできめ細かい」と期待を語った。

 今回、女性が過去最多となったのは、女性参画を重視する「都民ファーストの会」が、候補者五十人の三分の一を女性としたことが大きい。共産も前回とほぼ同数の十七人を公認した。杉並は主要八党のうち五党が女性を出している。

 ある新人は「私は小学生の娘がいる働く母親です」がうたい文句。「他の女性候補と違うのは子育て真っ最中であること。当事者の声を都政に反映できる」という。「子育て」では差別化できないと考えた現職は逆に、福祉や子育てなどの得意分野を控えめに、行財政改革や築地市場移転問題を訴える。互いにライバル関係にはあるものの、ある候補者は半数が女性となったことに「女性が活躍できる地域」と胸を張った。

 一方で、立候補者が男性だけの選挙区も十二ある。七人全員が男性の荒川区で、長く無所属の区議を務める女性は「以前は女性も出ていたし今回はたまたまでしょう。ただ、下町は確かに男性中心の風潮が強い。昔は『男性は女性候補には投票しない』と言われた」と言う。

 区内のショッピングモールで候補者の演説を聞いていた四十代の女性看護師は「都議会で『子どもを産めないのか』というヤジもあったし、女性議員は増えたほうがいいかな」。別の場所で主婦は「女性議員の暴行事件もあったし、強い女の人しか議員にはなれないと思うとちょっと…」とつぶやいた。

 過去の都議選をみると、女性の立候補者数は長らく一割に満たなかった。初めて一割を超えたのは一九八九年。土井たか子委員長の下、「マドンナブーム」で旧社会党が躍進した参院選の前哨戦でもあり、二百四十六人のうち13・4%の三十三人が女性だった。

 その後も女性の参戦者は多少の変動はあるものの増加傾向。前々回二〇〇九年は23・5%で二割を突破し、前回一三年は比率は20・9%だったが、人数はそれまでの最多の五十三人となった。今回は人数、割合ともそれを上回って過去最多・最高となった。

 一方、当選者の女性割合はまだ二割を超えたことはなく、前回の19・6%が最も高い。

 二十二日現在の有権者は、女性が五百七十四万一千九十二人で、男性を二十一万五千六百六十三人上回っている。

 

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