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都議選2017

自民VS「都民」象徴 1人区の千代田

 東京都議選(七月二日投開票)で、小池百合子知事と自民党の対決構図を凝縮しているのが、「定数一」の争いの千代田区だ。都議を七期務め、小池氏が「都議会のドン」と呼んだ内田茂・前自民党都連幹事長の地元で、自民は小池氏の政治塾で学んだ二十七歳の女性候補を擁立。小池氏側は、小池氏が国会議員時代に事務所で学生インターンをしていた三十四歳の男性候補を公認し、議会刷新を象徴する選挙区と位置づける。(梅村武史、中村信也)

 「千代田から東京を変える。利権やしがらみをなくす」。小池氏が率いる「都民ファーストの会」新人で、元警視総監を父とする樋口高顕(たかあき)さん(34)は、内田都議を中心に自民党主導だった都議会の転換を訴える。

 告示された二十三日には、小池氏も有楽町駅前で応援演説し「古い議会を新しくしよう」と強調した。

 元自民党衆院議員の小池氏は、昨夏の都知事選で自民都連に推薦を申請したが、都連側は棚上げにした。そのため無所属で立候補し、都連の意思決定のあり方を「ブラックボックス」と批判、自民の推薦候補を破った。当時の都連幹事長が内田都議だった。

 樋口さんには、小池氏と連携し二月の千代田区長選で自民推薦候補に圧勝した石川雅己区長も支援に回った。神田明神前で自営業を営む石村豊さん(70)は「江戸っ子は宵越しの金は持たない。都政も一度リセットした方が良い」と話す。

 対する自民。公募で選んだ新人の会社員中村彩さん(27)は「都民ファーストが(知事勢力を合わせて)過半数を占めると、議会のチェック機能が働かずに『都知事ファースト』になってしまう」と、都民ファースト陣営をけん制する。

 小池氏の政治塾生だった中村さんについて、都民ファースト幹部は公認での擁立を検討していたと認める。ただ、中村さんは「自民でなければ政治は動かせない」と考え、公募に申し込んだという。

 内田都議も五十一歳差の「ダイナミックな世代交代」と訴え、中村さんと同じ黄色のポロシャツ姿で応援のマイクを握る。神田須田町の商店主、岡武夫さん(73)は「風が吹くのは一時(いっとき)。千代田の商売人はいつも自民だよ」と語る。

 護憲運動グループが超党派で支援する無所属新人のフリーの編集者、須賀和男さん(61)は子育て、持続可能なまちづくりなどを主張し「豊洲移転に反対する有権者の受け皿になる」と話す。諸派新人で雑事代行業の後藤輝樹さん(34)は、豊洲市場の国際ハブ市場化などを訴えている。

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◆7つの1人区勝敗に直結

 都議選は都内を四十二の選挙区に分けて百二十七人の議員を選ぶ。人口差が大きいため選挙区ごとの定数は一〜八人と幅がある。中でも選挙全体の勝敗が如実に表れるのが、千代田区など七つの「一人区」で、今回はすべてで自民党と都民ファーストの会が激突する。

 一人区は千代田区、中央区、武蔵野市、青梅市、昭島市、小金井市、島部。政権交代を問う衆院選の前哨戦となった二〇〇九年の都議選では、民主党(現民進党)が推薦候補を含めて六区を制し、都議会第一党に躍進。自民党が第一党の座を奪還した前回一三年は自民が総取りした。

 築地市場のある中央区では、区議七期の自民新人と区議一期の「都民」の新人が立候補。この二人を含め、自民を離党した現職や、市場問題を審議する都の委員だった無所属新人ら計五人が争う。

 武蔵野市は自民現職と民進元職、「都民」新人による三つどもえの構図。小金井市では、「都民」が現職を選挙区替えして新人を擁立し、自民、共産推薦候補ら新人五人の争い。島部は伊豆大島で地元の自民現職に対し、「都民」の元八丈町議、共産新人が立候補している。

 

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